日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

太刀 千手院 Senjuin Tachi

2010-07-06 | 太刀
太刀 千手院

太刀 磨上無銘 千手院



 南北朝時代の千手院(せんじゅいん)の太刀。擦り上げられてはいるが、太刀の本来の姿格好を良く留めている。地鉄は板目肌が強い柾目状に流れて地沸が厚く付き、地景が肌に沿って入り肌が立つ。大肌の中の地底の様子は微塵に詰んだ小板目鍛えであり、これらの複合になる地鉄の様子に特徴が見出せる。一般的に千手院の地鉄はこのように肌が強く立って疵気が多いところにある。刃中に現われている肌には沸が強く絡んで沸筋が顕著に現われ、沸筋に伴い金線、砂流しも激しく入る。直刃基調の焼刃ながら、小足や小互の目が交じることもあり、これらを切って流れる沸筋や金筋の様子は迫力満点。この太刀では刃中の杢肌に地沸が付いて金線が現われ渦巻き状に見える部分もあり、沸は厚く刃先に抜けるほどに深く、殊に強みがある。帽子の働きも同じで、激しく沸筋が流れて掃き掛ける。地中にも湯走りから変化した沸筋が現われ、この刀では区上辺りには沸筋が強く流れて二重刃となる。□