思考の踏み込み

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

戦国夜話4

2014-03-16 06:46:08 | 歴史
道三は "うつけ" と名高い婿殿を一目みようと企画する。
有名な "正徳寺の会見" である。

この二人の英雄の会見というのはそのエピソードの面白さも含めて、戦後史きっての名場面の一つであろう。

信長を隠れて覗き見る道三が描かれている



当時、黒白定かでなく得体の知れぬ若者に過ぎなかった信長。

この男から何かを見出したのが、実父織田信秀と道三の二人だけであったというのも面白い。柴田勝家などは大っぴらに反信長派であった。

この "尾張の虎" こと織田信秀もまた強烈に興味深い人物であろう。

信秀木像

しかし道三ほどの人間通の男でもさすがに信長の評価の判断にははじめ迷った形跡がある。

こんな類の人間は見たことがない ー と。
それもそのはずである。
日本史を通じて見ても、信長の様な人物は空前絶後だからだ。

今太閤とか、今清盛とか評された者はあっても今信長と言われた者は聞いた事がない。

また近年でこそ、坂本龍馬と並んで好きな歴史上の人物で必ず上位に上がるが、戦前まではさして人気はなかった。

これは徳川の思想統制だとか、戦後の左翼煽動説など、いろいろに取り沙汰されるが、単純に信長の感覚が時代を先取りし過ぎていただけだと思う。

現代のような熾烈な競争社会、極端な合理主義社会に至ってはじめて日本人は信長の感性に共感し出したということだろう。

要するに信長とはそういう男であった。そういう人間はその時代の人々には "うつけ" としか見えなかったのは止むを得ない。