白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

GMトマトの話

2012年05月13日 | トマト

世界で最初に市場に登場した遺伝子組み換え作物はトマトです。アメリカ食品医薬品局(FDA)は、“Flavr Savr” (フレーバーセイバー)と命名されたこのトマトを、1992年に慣行手段で栽培されたトマトと何等相違が無いと結論し、食品として販売する事を認可しました。

 

―GMトマトのイメージ写真―WebPhotesより

“Flavr Savr” (フレーバーセイバー)トマトの狙いは、遺伝子を組み換える事で、収穫した果実の成熟を遅らせ、店頭に並んだトマトが売れるまで、何時までも新鮮さを失わずに、飾って置く事が出来る棚もちの良さにありました。

 これは、追熟する果実作物に応用できるバイオテクノロジーですが、消費者の生鮮品に対する常識を覆してその期待を裏切る事にもなり、商業的に成功を収めるのは難しかったようです。

其のトマトは間もなく市場から姿を消していますし、アメリカ市場と一部のUKでの事もあり、一般には話として知っていても、馴染みの無い方が多いと思います。

 

―GMトマトの実物写真―WebPhotesより

果実が熟するときに働く、細胞壁ペクチンの加水分解酵素であるポリガラクツロナーゼの生成を抑えるために、そのセンスRNAが担うべき、タンパク質の合成を阻害するポリガラクツロナーゼ遺伝子のアンチセンスDNAをトマトに組み込んだのです。

 

―GMトマトの写真―Wikipediaより

アメリカの反GMO運動家のジェフリー.M.スミス氏の著書、“Seeds of Deception ”「偽りの種子」の中に、「もはやトマトとは言えない」とその話が載っていますので引用致します。―丸田素子氏訳一部省略―

 

―GMトマトの写真―WebPhotesより

「このトマトは一週間前に収穫されました」そう言うとその男は、真っ赤に熟れたトマトを手に取り聴衆に見せた。 

「このトマトは一カ月前に収穫されましたものです」又、同じ様な真っ赤なトマトが掲げられた。

「このトマトは二カ月前に収穫されました」さすがに、この言葉には五〇〇人近いミネソタ バイオテク協会の会員たちも驚かされた。トマトは他のトマトとそっくりだった。

「このトマトは三カ月前に収穫されました、このトマトは四カ月前に収穫されました、このトマトは五カ月前に収穫されました」と男は続けた。

 

GMトマトのイメージ写真―WebPhotesより

男は六個のトマトをテーブルの上に並べた。どれも真っ赤で新鮮でよく熟れていた。実は六個のトマトは、みな新鮮さを保つ為に、新しい遺伝子が組み込まれていたのである。  

男はひと呼吸置いて、聴衆が不死身のトマトと言う信じられない出来事を咀嚼する時間を与えた。少し、時間が経ってから、六十代の一人の男性が立ち上がった。其の人が長い沈黙を破って話すのを皆が注目していた。

 

―GMトマトのイメージ写真―WebPhotesより

「私は生化学者ですが、一寸変だと思います。もし、トマトが五カ月も腐らないのなら、栄養成分はどうなっているのですか?」

正面に立つ男は答えなかった。その代わり、前列に座っていた若い男性が二人同時に立ち上がった。ふたりは、その発言したラシュメットと言う男性に近いて、「この質問はこの場にはそぐわないので、部屋の外で話しませんか」と低い声で、そのひとりが言い、三人は部屋を出て廊下に立った。

 

―GMトマトと一般トマト比較真イメージ写真ー

扉が閉まると若い男性の一人がこう言った。「私達は、栄養成分には興味はないのです。何に興味があるかと言えば、今日収穫したトマトを半年後に主婦が買うと言う事です」

其の言葉に、ラスメットと言う男性は激怒し、こう言った。「もし、トマトが腐らないとしたら、糖と酵素に対し、何らかの操作をしたからに違いない。生物学の見地から言うと、それは好ましい事ではない」と、

 若い二人は礼儀正しく、しばらく、ラシュメットをしゃべらせてくれた。恐らく心の中では、ラシュメットが会議室ではなく、廊下で怒りを発散してくれる事に感謝していただろう。-以下省略

 

―Seeds of Deception-Web pageより

これはGMトマトに限った話では決してありません。GMO食品の全てについて言える事です。GMOの実体やその「真実」を明らかにしようとする象徴的な話の一端を如実に表しています。

 

―GMみかんのイメージ写真―WebPhotesより

アメリカのトマト消費者は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が早々と認可した“Flavr Savr” (フレーバーセイバー)トマトを拒否して市場には定着させませんでしたが、其処にはアメリカ人のトマトに対する深い思い入れや価値観の違いがあったのではないでしょうか。

 

ーエアルームトマトイメージ写真ー

数百種にも及ぶ家庭園芸用のトマト品種を定着させたアメリカですが、季節に関係なく市場に出回るトマトには一部に不満もあり、其の味の悪さには、「カードボードテイステイングトマト」と言うような表現のトマトが冬場には店頭に並ぶとも言われ、アメリカで自らトマトを育てるトマトマニアが増えているのも頷けます。

 

―トマトイメージ写真ー

しかし、GMトマトに続いて、遺伝子組み換えの除草剤耐性の大豆、菜種、害虫抵抗性のトウモロコシやワタ、ジャガイモ等が商品化され、輸入品であるそれらが日本にも入って来て、その一部に遺伝子組み換えの表示義務を課し、消費者に拒否選択の自由を担保していますが、今では遺伝子組み換え大豆をはじめ、多くのGMO食品の定着が既に図られています。

 

―GMトマトのイメージ写真―WebPhotesより

GMトマトが語る「真実」は、あくまでも商業目的の利潤追求にあり、他のGMOにも通ずる事ですが、直接利害関係者の価値観に基く発想であり、不都合な情報は隠蔽される消費者を含めた社会全体で共有できる価値の創造では無いと言う事です。皆さんはそれを如何受け留められますか。

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