白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―葉を食べて仕立てる 観葉草盆栽作りに挑戦―

2020年03月19日 | グルメ

 

日本人なら、特定の草本類を鉢植えにして盆栽仕立てにする用土栽培を知らない方は先ずは居ないと思います

それに植物好き方の中には、何でも盆栽になると思って鉢植えにされる方も居られるようですが、趣味での人それぞれ異なる鑑賞眼にとやかく言うのは憚れますが、草本類を盆栽に仕立てるには向き不向きがあり、其の種を選ぶことも大切です。

一般の山野草でも勝手に掘り取って来て移植しても思ったようには根付かず、旨く育たない事があるのは周知であり、それも亦、向き不向きがあるからです。

ですから今では人気のある山野草種では、園芸用に作出した販売用の種苗から育てるのが極一般的あり、大部分の方はそうされて居られます。

―国風盆栽展 2020 の展示作品―Web画像より

実は日本の海岸には何種かの芹科多年草が自然繁殖してますが、其の多くが掘り取って移植したり、鉢植えにしたりするのが大変難しく、自然から直接摂って利用するしかなく、其の中でも特に葉や茎を早取りして食べる香草があって古く江戸時代後期から利用されて来た歴史があり、今もその食べる習慣が一部残っています。

其の芹科野草の中でも早くから香草として特別に育てる方法が試みられ、極一部の海岸から離れた地域で其の栽培法が年間通じて利用されて来たのですが一般には明らかにされず、他の海岸地域では昔と変わらずに其の季節に成ると香草を自然繁殖地から直に採取しては、自然の恵みとして賞味されて来ました。

それが近年になって、自然の恵みを利用する長い歴史の経過と共に気付いた時には既に遅しであり、此の海浜野草の自然繁殖地は長年の過度の採取で乱獲され尽くし、加えて近年の臨海地域の環境悪化と重なって、其の姿は多く地域で消え失せて仕舞い、今や日本各地海岸地方では絶滅危惧種に指定されているのが実態であるのです。

ー摂り尽くされ 絶滅危惧種になっている珊瑚菜ーWeb画像より

其処で芹科海浜野草の一種を、日本で培った伝統的な盆養の技を駆使して草盆栽に仕立てながら、切り取った若芽や新葉に豊富に含まれる栄養分のビタミン、ミネラル、ポリフェノール類等、調理で生かして食卓に並べ、傍らに野趣ある自然の姿を映した草盆栽を飾って眺めながら試食する、そんな趣向は如何かと思ったのです。

唯、盆栽と聞けば一般に高尚な趣味とされて居り、其の仕立ての手入れ屑の枝葉を調理した一皿を、其の盆栽と共に飾って食べる等、不釣り合いの悪い冗談と受け取られ兼ねませんし、今どきの食べ物には何一つ不自由はしない時代にあって、そんな発想は伝統盆栽文化を唯、汚すだけの卑しい根性とどうか蔑みしないで下さい。

実は、其の発想の真意は何かと言えば、此の海浜野草類に含まれる日本で昔から身体に良いと高く評価されて来た実体が、最近特に明らかにされ、含まれて居る類まれな薬効成分は顕著であり、それを薬食同源の喩えに踏まえて何方にも、其の持つ特色を味覚に託して自然の姿を映した盆栽から、直にその素晴らしさを感じ取って頂く貴重な機会にしたかったのです。

此の野草種、一般の野菜類と比べると含まれる栄養成分の優等生振りは格別であり、なんとてしても皆さん自らの手で、何方にも興味を以って上手に食べさせる手法は無いかと考えた末に思い付いた発想なのであります。

―せり科の薬草の一種 当帰―Web画像より

次には、盆栽仕立てに挑戦するに至った動機ですが、此の海浜野草類の佇まいである自然の姿にあります。日本での自然繁殖環境は、それぞれの芹科植物の種によって地域が異なるようで一概には言えません。其の一種の繁殖適地の北限は、外房地域の場合で見れば黒潮の強く打ち寄せる、海蝕崖に面する岩礁地帯であり、其の自然の姿は多くの場合、知る人ぞ知る、見つけずらい隠れた存在の場合が多く、其れだからこそ、自然繁殖地が今も残されて居るのかもしれません。

此の種の見ての姿は一寸或る花木の葉に似て居り、程よい大きさの展開葉が荒く重なりやや厚みある風情の葉色は美しいブルーグリーン色であって、観葉植物になる十分な鑑賞価値があり、花は白く溢れる円錐花序一面に展開し、これならば、ユニークな新草盆栽立てが出来る素材になると見込んだのです。

ところが何処を探して此の種の野草の盆栽仕立ての情報は、ネット上で見る限り何処にも無く、鉢植えのなら何でも盆栽になるとする素人の推測以外は皆無であり、並みの事では盆養仕立てが簡単に出来ないと分かったのです。

それもその筈、簡単に言えば、此の種の植物はタップルートと呼ばれる直根性の移植が極めて困難な種類であり、成長と共に一定の太さの直根が長く垂直方向に伸長してしまう性質があり、そうなってしまったら最早移植はしても、順調には生育できないのです。

其の為に此の種の野草は、昔から自然繁殖地から掘り取って持ち帰っても先ず移植が難しく、簡単には根付かないのであり、宿根草でありながら簡単には植え替え繁殖が出来無かったのです。

其の結果が愚かにも、次々と自然繁殖地から堀取られても枯らされて仕舞い、絶滅危惧種となって今では多くが日本の海岸から消える運命を辿って仕舞ったのです。

―与那国島では名産になっている長命草!―Web画像より

実は、其の仲間の植物であっても、或る方法で其の条件を持続させてやると盆養で、容器に合わせて大きく育てたり、簡単に植え替えたりできる事が判っています。其の原理を一言で言えば、植物を新しい環境に馴らす為の馴化処理と呼ばれる方法を取るです。

どんなに移植が困難な程太くなった植木では、適時に行う根切りや、根回し等で新たな細根伸長を行えば、移植が出来る事が、造園業等では極当たり前に実施されて居るのです。

唯、課題は対象となる植物種によって、移植可能な断根処理条件等が異なって居り、其の道のプロであってもリスクがあり、特に難しいのが、其の植物の性質を熟知して、経験的に会得する処理法にあり、移植後の環境管理であります。それらは実地経験で自ら試して会得するしかありません。

―野生からすっかり栽培作物になっている 明日葉―Web画像より

実は幸いな事に此の種の植物が、当外房菜園の近くで野生種を見掛けるので自然条件下の生育を観察するのに事欠きません。其の場の野外実験での部分処理も正直に言って可能です。

その上に有難い事は、当地を始め一般には此の海浜野草は昔から殆ど採って食べる習慣が無かった様であり、そのために近隣種との識別も不確かであり、一部には食べられない毒草と思って居る節もあるやにも聞きます。

何しろ見た限りでは、関東地方なら房総半島南端当りが、此の種の自然に育つ北限のようであり、生育温度の影響でしょうか、生育高さも一般に言われて居るよりややこじんまりと低くて、其れが返って盆栽仕立てにするには、コンパクトになって好都合なると見受けました。

其の盆養栽培、時期的には春から挑戦する事になるのですが、其れで毎年の此の種の野草が伸び出す春から、葉や茎を造形的に形良く切り取っては食べながら、自然の中にあって次々伸び出す時期を狙い、その持つ特徴ある姿形を求めて審美眼的に見ての理想の草形にする新葉剪定を続けます。

限られたスペースの盆の中で、全体が映えるように調えるのですが、此の野草の持っている特徴ある太い露出根と盆栽としての雰囲気を生かし、誰が見ても充分に鑑賞するに値する姿になるように造形美を演出する、鉢植えの野草の新しい盆栽の魅力ある姿を実現にする所存であります。

―明日葉に似て区別が難しく食用にしない 浜ウドーWeb画像より

尚、此の芹科海浜野草の品種名ですが、はっきりとは明かさなかったのは、今も見かける自然の中にあって生き延びている其の姿を守る為であり、既に日本各地で絶滅危惧種となっている近隣種と同じような運命にしない為でもあります。

心あって自然を大切される方々ならば、それなりの知識もあって名も容易に判るからであり、判っても勝手に探して掘り取って、枯らすようなことはないと思うからであります。

 

―同じ海浜野草 艶蕗の草盆栽ーWeb画像より

扨て、最後に農園芸歴50余年になるマニア老人から、其の盆栽作りに因んで一言申させて頂きます。

今の日本経済は円熟期を経て、少子高齢化に至った衰退期にあり、其の持つユニークな独自文化が海外から様々に評価される機会に恵まれて、観光立国を指標にして自国経済繁栄の礎にする国是が、其の一端を担う形になって居るかと思われます。

只、今般は期せずして遭遇するに至った新コロナウイルスショックで大打撃を被る事態に直面している観光業界ではありますが、如何なる事が起ころうと、日本には永い歴史下に築き上げられた良き自国文化が多々あり、その貴重且つ重要な有形、無形の文化遺産は賢く守って後世に伝えて行かなくてはなりません。

其の中にあっての類稀なユニークさを誇る、日本人の自然崇敬文化に組みしての繊細且つ脆弱な自然の中にあって、その育った造形美を追求し、民族特有の審美眼を以って生きている草本類を矮小姿形に仕立て、盆中に収めて無駄の無い姿を丁寧に具現して見せる、正しく其の妙なる技で磨かれたユニークな園芸文化が、国際語にもなっている ”盆栽” の真髄であります。

其処での表現対象となる草木類は、松柏物、花物、実物、葉物、草物と分類されるのですが、今般、新たに食べものにもなる姿を加えて、日本では昔から今も続いている、自然野草を採食する伝統食文化とのコラボレーションにして、何か新たに表現が出来ないかと、食べて見ての味覚に重ねて感じとれる趣向で、新草盆栽の魅力ある姿を通じ本来の面影が想像出来るように、心を込めて盆栽仕立てに励む所存で居ります。どうぞご期待下さい。

ブログランキング ブログコミュニティ にほんブログ村

家庭菜園(プランター菜園) - 花ブログ村

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿