―野菜作り名人の知恵袋―

此の話、題名の「野菜作り名人の知恵袋」の著者である、加藤義松氏が語る玉葱の作り方は直播きですが、外房菜園で作る玉葱は、毎年苗を購入して本圃５条マルチに移植するやり方であり、先日で其の植え付けが全て終わりました。

玉葱は毎年120ｋｇ程を収穫するのですが、作る品種はいつも同じであり、この地域で特に良く作られている、早生種のＦ１玉葱「ソニック」だけにして来ました。

 

―外房菜園の植え付けの終わったソニック＆泉州黄玉―

其れと言うのも外房地域では、植え付けが終わる頃に成ると余った苗が近くの野菜産直店に並び、比較的安価で購入できるので大変都合がよかったからであります。

ところが此処数年で、苗がだんだん早くから売り出されるようになったのは良いのですが、一方で値段も少しずつ上がり、今では50％も値上がって、今年は300本程の苗代が、なんと2,250円にもなりました。

幸いに今年から、収穫した玉葱の貯蔵期間が限られる早生種の「ソニック」だけでは物足りず、別種の黄玉葱を自分で種子から育てて居たのであり、今年は毎年の植え付け数の半分はそれで間に合わせたのです。其の品種、日本の玉葱の元祖とも言えるエアルーム種の「泉州黄玉葱」であり、その種子代がなんと僅か１０８円で済み、それで350本の苗を育てる事が出来ました。

 

ー タマネギ・ソニックー ＷｅｂＩｍａｇｅｓより

玉葱はタネを蒔いて植え替え出来るようになる迄には約２カ月近く掛かりますが、新プランター方式の種播きなら、トマトの後作の標準プランター２個へのバラ蒔きで済むのですから、簡単此の上有りません。尤も昔から苗半作と良く言われ、一般には苗作りはそう簡単な事では無いと言えば其の通りでもあります。

それ故に、昨近の盛んな家庭菜園向けには、様々な苗がシーズン毎に売り出されているのですが、それにしても、余り苗の値上げには、需要と供給の関係とは言え一寸驚きであり、来期からは全て自家育て苗に切り替えようと思います。

因みに一寸離れた別地域の産地直売店で見つけた余り苗は、少々くたびれて居ましたが、半額程で並んで居りました。

 

―ダイソーの泉州黄玉葱種子―ＷｅｂＩｍａｇｅｓより

実は、今年も亦、昨シーズンの消えたフレンチバナナエシャロットの種子繁殖に挑戦する為に、輸入種子の“Ｚｅｂｒｕｎｅ”を新プランター栽培方式で播種したのですが、同じようにして蒔いた「泉州黄玉葱」の種、100均での購入品ですが、決して店頭に長く飾られていた古種子では無く、下手なホームセンターの店頭に長く並んでいる有名種苗会社の袋種子よりも其の発芽率の良さには内心驚きました。

扨て、其の玉葱栽培ですが、表題の「野菜作りの名人の知恵」の著者である加藤義松氏は、15ｃｍ間隔の5条マルチシート張りした圃場で、玉葱種子を各穴に7～8粒、直接播種する育て方を紹介して居ます。それを間引いて2本仕立てにして育てるのであり、、翌年の3月頃になって一本は葉玉葱として収穫し、残った一本を玉葱に肥大させると説明しています。

それが、同氏の出身地の東京練馬区あたりの代々の農家直伝のコツのコツと言う事でしょうか、これこそ　「ところ変われば、野菜の作り方も亦変わる」という事を当に実感させられる話で有ります。

 

―講談社α新書―ＷｅｂＩｍａｇｅｓより

此の事は、先のブログでも触れましたが、作物は種類や品種が同じであっても其の育ち、土壌の水分や養分などの違いは言うに及ばず、栽培地域の気候条件や風土の違いこそが作物の基本的な生育に大きく影響するのであり、それ故に、実際には多くの異なる品種や作型が生まれて来るのであり、それだけに作物は様々な条件で栽培されるのであり、農法でその違いを規定する事は出来ないと言う事が良く分かります。

何しろ、外房の九十九里浜に面した一帯で作られているＦ１早生玉葱の「ソニック」は、其の海成砂壌土と温度気候条件が特に適している所為か、作出メーカのタキイ種苗は　「ソニック」は平均3２0ｇの玉葱と言いますが、一寸肥料過多になると、殆どが1球で400ｇを有に超える大玉となり、一昨年でしたか、1球で９１０ｇのビックな大玉葱が収穫出来ました。

 

―９１０ｇと見事な大きさになったＦ１玉葱ソニックー

当外房菜園での玉葱作り、すっかり現地の農法を真似ているのですが、昨年からは、追肥の時期と施肥量を制限して玉の太りを抑えながら、収穫期を少し伸ばし、圃場にそれだけ長く残して貯蔵期間を延ばすようにして居ます。

其の成分品質は同じ様に見えますが、早取りするとそれだけ辛味が少なくて、生でも甘いフルーツ玉葱になり、収穫のタイミングで其の味も変ります。

扨て、話を元に戻しますが、加藤義松氏の著書　「野菜作りの名人の知恵袋」、此の本を何時購入したのか記憶に無いのですが、第１刷が出たのが丁度１０年前ですから丁度其の頃であったかも知れません。

其れが先だって、外房の別宅に居て１日中雨降りで閉じ込められ、晴耕雨読と書庫から此の本を偶々見付けだして読み返したのですが、其の中でもう一つ、特筆すべき話が載っており、これも亦紹介でさせて頂きます。

 

―親芋は殿芋と言って正月の縁起物です！－ＷｅｂＩｍａｇｅｓより

これも亦、今まで全く気付かなかった事ですが、里芋の種芋に今まで利用して来なかった古い親芋の頭を切り取って、上下を逆にして植え付ける方法であります。

こうすると、種芋から立ち上がる太い新芽が複数本出る様になり、新芋を親芋にした場合の１本軸仕立てより、早くから複数の新葉軸が立ち上がり、葉数がそれだけ増えて光合成量が多くなり、小芋が余計に付いて育つ量が増えるのであり、全体の収穫量がそれで増える話には、成程と感心致した次第です。

ところが其の話を本で読んだ方でしょうか、ネット上に、此の親芋を逆さまにして植え付ける方法と其の儘植える方法とを比較する為に実験した話が載って居り、其の結果の収穫量の違いを計ったら、大差が無かったと言うのです。それを見た方の中には、加藤義松氏の話、疑って掛かる方も居られるかも知れません。

 

―親芋のパワーが小芋の数を増やす！ーＷｅｂＩｍａｇｅｓより

もしそう思うなら、其の方は多分、里芋を育てた経験の無い方か又は、里芋含め、作物の本当の育て方を未だ知らないからで有ります。

こう断言させて頂く限り、来春は里芋の植え付けを是非とも行って再確認致しますが、幸い今年育てた里芋　「土垂れ」の親芋が１５個程残っており、其の実験には事欠きません。

 

―名物料理のキヌカツギはボケ防止？ーＷｅｂＩｍａｇｅｓより

これで結果報告の約束事が生まれてこれ亦宿題が増えますが、野菜栽培マニア老人に取っては大変有り難いことであります。

これで健康長寿の糧が亦増えて、認知症とは益々縁遠くなりますし、先ずは収穫した里芋もせっせと食べなくては成りません。

その里芋の効能を一言で申せば、含まれるガラクタンとムチンによる脳の活性化作用です。これ亦老人には有り難い話です。