白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

-ブランデーワインピンクに尻腐れ果発生!-

2014年07月10日 | トマト

トマト栽培で多くの方が経験する「尻腐れ果」、昨年は「ブランデーワインピンク」には出なかったのですが、今年は早くも一本だけ、その第三花房に結実した実に発生しました。

トマトの尻腐れは病気では無く、カルシュウム摂取不足による生理障害とされ、土壌栽培では、先ず土壌の酸性化やカルシュウム肥料不足等が直接的な原因とされて居ます。

一方、カルシュウム分は摂取されても他の組織へは中々転流がしないとされ、発達中の花房や周辺へのカルシュウム溶液の直接的な葉面散布が予防効果になる等、対処方法ではいろいろ言われて居ますが、はっきりした事は分かって居ないのが実情であります。

 

―ブランデーワインに発生した尻腐れ果―

又、施設養液栽培では、高温と均衡培養液の窒素成分と拮抗するカルシュウムの摂取不全が原因?とされ、尻腐れ果の発生を如何やって防ぐか具体的な方法は有りません。

先のブログでも一寸触れましたが、果実の上部側で展開する葉の一部除去するとか、培養液の希釈率を1/2にする事が、防止効果になるとの研究発表はあります。

しかし、症状が出てからなのか、予め、第3花房当たりの尻腐果出そうなピンポン玉ぐらいになった果実を対象に、その周辺の葉を取るのか如何か良く分かりません。

それに経験で言える事は、大玉トマトでも同じように育てているのに品種違いで、尻腐れが出たり、出でなかったりします。

何事も原因があって結果が生まれるのですが、それが生き物の事、植物の栄養生理の未解明分野であっては捉える様が無く、作物栽培の難しさは其処にあると言う事です。

 

-トマトの尻腐れ、如何防ぐ?-

実は、アメリカのエアルームトマト栽培の普及に最も貢献された其の分野の第一人者の一人とされる著名な方に、Carolyn J. Male, Ph.D (カロラインJ.メイル博士)が居られます。 其の方が 「尻腐れ」につて語っている話がネット上にありました。

 そのカロラインJ.メイル博士、ニューヨーク洲、オルバニーに在るセントローズカレッジの微生物学教授を退任された方ですが、1000種以上のエアルームトマトの栽培を手掛けた、大のトマト栽培愛好家であり、研究者であり、其の道の達人であって、全米のトマトフォーラムのメッセージボードの主要な回答解説者をされて居られます。

その著書 “100 Heirloom Tomatoes for the American Garden”はベストセラーとなって大変有名であり、又多くの園芸誌等にエアルームトマトの品種から栽培法迄、トマト園芸愛好家の先導的な役割を果たして自らの栽培実績を基に、其の栽培の魅力を伝えて来られた方であります。

 

-名著のカット写真―

それで、其の“Blossom end rot”(尻腐れ)、トマト園芸愛好家向けにどのように解説されて居るのか大変興味が湧き読ませて頂きました。これは亦、日本でも家庭菜園でのトマト栽培で「尻腐れ」を経験されている方の参考に成ると思い、抄訳で紹介させて頂くことに致します。

-抄訳-

Date: Fri Jul 27, 2001 3:08 pm
Subject: Blossom End Rot

 “Blossom end rot”(尻腐れ)は、トマト栽培シーズンの初期に発生する、尤も一般的な問題であります。それが、菌類やバクテリア或いはウイルスによって起こる病気では無く、生理的な条件で起こります。

それ故に、尻腐れは処置が出来ません。これから説明しますが、其の予防は不可能では無いとしても、大変困難であります。

その症状、トマトの果実の底部、果尻が突然茶色に変色し始め、やがて黒くなって拡大し、果実の尻の部分から腐り始めます。

 其の発生原因、不規則な給水、乾燥、急激な降雨、過剰な窒素分の施肥、栽培中の植物体の急成長、根部の切り取り、強風や急激な温度変化等で起こります。そうした沢山の条件が尻腐れには拘わっています。

しかし、急激な成長や窒素分の施肥の両方共、栽培の初期の段階はで一般的に良く見られるのであり、全く其の時期に、殆どの尻腐れが発生致しています。通常、その後は消えて無くなります。

 

―カロラインJ.メイル博士-WebImagesPhotoesより

尻腐れは、良く言われる植物体の道管部を移動するカルシュウムイオンが果実へ移動する段階で発生します。或いは、供給を越えるカルシュウムイオンの要求ストレスが原因で、カルシュウムが果実に届かい為に発生するようにも思われます。此の低下するカルシュウムイオンが尻腐れを起こす原因であります。

 過剰な蒸散率がカルシュウムイオンの偏在に関わって居ます。其の為、植物全体はカルシュウム不足では無く、カルシュウムイオンが唯、偏在して居るだけであります。

多くの書物や雑誌の記事には、例えば、尻腐れを阻止するには石灰や卵の殻等に含まれるカルシュウムイオンを与えるようにと書かれて居ますが、それは真実では無い様です。

大学での圃場栽培実験の限りでは、カルシュウムイオンの添加によって尻腐れの防止ができること示す事が出来て居りません。

 亦、唐辛子や油菜科の沢山の野菜のカルシュウムイオンと尻腐れに関する文献が有りますが、その結果は同じであり、カルシュウムイオンの添加では尻腐れは阻止できません。

ある種のデータから、カルシュウムイオンの葉面散布を強く勧めて居ますが、果実に効果の出る充分な吸収とはならない為に無駄です。それに売られている果実用散布剤は効果が有りません。果実の表皮を通過する分子は有りません。もしあるとすれば、降雨で起こる事が、果実に起こると思って居るだけの事です。

 全ての品種が尻腐れになるのではありません。或る品種は全く起こらず、他方では酷く発生もします。それは生理的な違いが品種によって僅か有るからであり、全く驚くことには当たりません。究極的には、種として同じで有っても、その生理活動に違いが出ると言う事です。

 それですから、尻腐れは生理現象であって治らないとされ、これまでの文献では其の防止は出来ないとされて居ます。

尻腐れ、或る品種では発生しますが、すべてのトマトに起こる訳では有りません。普通は栽培シーズンの初期に見られ、其の後は無くなります。

例えば、其の防止について水遣り、乾燥、大降雨、急激な成長等、色々と言うですが、実際は、どれも殆ど不可能と私は思います。それですから、私は尻腐れを決して気にしません。時間と共に無くなると無視して居ます。

 土壌へのカルシュウムイオンの添加は、カルシュウムイオンの不足には意味が有りますが、それは一部の土壌だけの事です。土壌が酸性なら、カルシュウムイオンが充分摂取されなくなるので、酸性土に石灰を添加するとカルシュウムイオンの吸収は良く成ります。

 大概の人が、カルシュウムイオンを添加して尻腐れが消えるのを見て居ます。そんな間違った尻腐れの認識は、栽培期間が進行すると、尻腐れはとにかく消えて無くなる事に有ります。

それは、植物体が大きく成長すると、尻腐れを誘発する沢山のストレスに耐えられるようになるからであり、それは尻腐れの消滅は、カルシュウムイオンの添加では修正は出来ないと言う事でもあります。

尻腐れは商業野菜栽培では巨大な金額的な損失問題であり、既に多くの大学で沢山の研究が実施されて来ました。

尻腐れを誘発する全てのストレスの中で、家庭菜園でコントロールできるのは、施肥と水遣りであります。過剰な施肥は急速な成長の原因に成り、多分尻腐れを起こす主要因の一つに成ります。土壌の養分過剰も同じです。植物成長が、容易に果実にカルシュウムイオンを取り込む能力を越えて仕舞うと言う事です。

水分コントロールになる土壌マルチ、これも亦、素朴な意見ですが、尻腐れの主要な原因の防止の一つに成ります。

尻腐れは通常は半成熟した果実だけでは無く、又全くグルリーンな果実にも現れます。カルシュウムイオン不足は果尻で発生し、其処の組織を破壊して灰色から黒色の病変が現れます。其の病変が時にはやがて敗れ、其処に菌類やバクテリアが侵入し、成長して病変を腐敗させます。唯、尻腐れ果を取ってしまえば、次の果実は尻腐れの無い形で成熟します。

 多くの本や雑誌、ウエブサイトまで、過去20年間に為されたすべての研究を知らないかのように、今尚、石灰や卵の殻等のカルシュウムイオンの添加を書いて居ます。

一方亦、多くの本や雑誌の記事で、新しい情報として、カルシュウムイオンの添加は酸性の低カルシュウムの土壌の場合を除いては、尻腐れの阻止も予防も出来ないと言いだしてはいます。

 それが完全に分かるまでには、もう一世代必要になると思われます。私の経験で申させて頂ければ、この種の情報を一度取り込むと、一途となって唯夢中に信じ込む人が居るからです。そうであっても、適量のカルシュウムイオンの添加は害には成りません。しかし、尻腐れとカルシュウムイオンに就いての過去から現在までの研究の中で何が起こっているか、私は知るべきと強く感じます。

 Carolyn
NY, Zone 4/5

 

―ポンデローサは尻腐れの良く出る品種です!-

以上ですが、トマトの尻腐れの事、ご理解頂けたでしょうか。実は今年の異常気象?で、「ポンデローサ」に尻腐れが初期の果実に異常に発生し、トマト苗を差し上げて育てて居る方に大変気の毒な思いをさせました。其の原因?例年であれば無かった事であり、異常気象と言うしかありません。

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