白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―「スローフードの軌跡」&「ダイエットの科学」ー

2019年10月31日 | グルメ

読書の秋さながらの10月もあっという間に過ぎ去って今年も亦、一年の終わりが一段と迫って来る霜月の11月に入ります。其の間はブログ更新もすっかりご無沙汰して仕舞いましたがお陰様で、表題の2冊の著書を始め、合計5冊の本をしっかり読み切る事が出来ました。

其の中でも表題の書名の中の 「スローフード」と「ダイエット」の2語、昨今は若年層から高齢者に至るまで、日々の食生活にとってはそれぞれに意味深い言葉であり、特に両書共に海外の著書の翻訳版であることから、ガラケー国民が多数を占めて憚らない日本人にとっては読みようで、多くの示唆と海外常識に繋がる契機となるやも知れず、今日社会への対応に意義ある情報の宝の山となるかも知れません。

唯、それぞれの著書を読み切るには、それなりの前知識の備えの忍耐や勇気が必要とされ事もあるかと思われて、本書の敢えての通読は、特にはお薦め致しません。

 

―著者が育ったと言うイタリヤのプラ市の街の全景―Web画像より

それでは最初の本の世界160ヵ国に根を下ろしたと言う 「スローフード運動」の提唱者、カルロ ペトリ―二氏のユニークな著書の翻訳版、「スローフードの軌跡」の中にあって、根幹を成す「キーワード」である 「ガストロノモ」と「ガストロノミー」の2つのカタカナ語の意味、その解釈に触れながら、文中にあって印象に残った 「キーセンテンス」となっている 「日記5」の文章を転写挿入して、拙い読後感想として披瀝させて頂きます。

先ずは著者の言う 「スローフード思想」の発想動機は何かと言えば、有機的存在である人間を含めてのすべての生命体が、生きていく為には当然摂取しなくてならない「食」からの栄養摂取、その事の持つ意味を、人としての日常生活の視点に立って如何様に認識すべきかと言うことであり、著者のカルロ ペトリ―二氏の個人的な提案が其の原点となったと理解されます。

その背景にあるのは、著者の育ったイタリヤの有史前から延々と続いて築かれて来た、地中海に面した地域一帯の多彩で、複雑を極めている食文化の蓄積の存在があり、其の食文化を守り、「美味しい、きれい、正しい」 それらの姿を享受して継承し、次世代に受け渡す活動にこそ 「食」の持つ原初的な意義があり、そうした「食」の根幹を構成して最終産物がもたらす、優れた味覚の受益者こそが 「ガストロノモ」(美食の味覚の達人!)と言うのであり、亦その「食」の根幹から様々に配合され、構成されて最終産物に至るプロセスに携わって所掌する 「術」や「技」が、言うなれば 「ガストロノミー」(美食料理学術!)であると解釈致します。

 

―スローフード発祥国のイタリヤの食育を学びましょう!-Web画像より

扨て、話が前後しますが、肝心な用語の 「スローフード」とは 「ファーストフード」の対称語であり、聞き慣れた日本発祥の 「インスタント ラーメン」 こそ、正に名は体を表すと言う喩えの通り、代表的がファーストフードであります。其のすさまじいほどの日本の発展普及振り、一寸蛇足になりますが、日本人のガラー系民族の「技」の極み、その一端を見る想いが致します。

其の証左に触れると、日本人は一方で 「ラーメン食」にたいする新たなる挑戦とばかりに 「スローフード」の極みを志向しているのか、それともファーストフードの極みを更に追求すると言うのか、日本伝統の麺食文化である、うどんやそばを蹴落とす勢いで、すでに圧倒する位置に達してしているのが実情ではと申せます。

それでは此処で元に戻りますが、「スローフード運動」の提唱者である、カルロ ペトリ―二氏の同著書の中にある 「日記5」、その一部を転写して、著者のカルロ ペトリ―二がスローフード活動で訪れたカルフォニアのサンフランシスコで出会って、スローフード思想への啓示になったと言う経緯と、その素晴らしいアメリカ女性 「アリス ウォーターズ」女史を紹介して、当該思想が今日の日本人食文化に、如何様に大切になるのか、其の認識の新しいヒントの一助にしたいと思います。

日記5転写開始

ガストロノム達の素晴らしい友情は、レストランのテーブルの間で、仲間たちの宴席で偶然に生まれる。友情の絆は時と共に強くなり、素晴らしいコラボレーションを産み出し、実り多い意見交換がなされ、更に情熱的な冒険に繋がる事がある。

私が広げようとしていたスローフード思想に、アメリカ合州国で強いフィーリングを感じてくれた人間との出会いも、そのようなものであった。それがアリス ウォーターズであった。彼女に会ったのは1988年2月、私が初めてカルフォニアを旅した時だった。

サンフランシスコで誰もが最高と認める、彼女のレストラン 「シェ パニス」に行って見たいと思っていたのである。彼女の料理の名声は、全米中に知れ渡っていた。素晴らしい料理であるだけでなく、アリスが、カルフォニアだけではなく全米において、この土地の自然と伝統的な知恵を尊重すると言う、真摯な深淵な気持ちと共に、此の若い食文化に対して誇りを持たせる事に成功した事でも名声を博している。

 

―世界で尊敬されて家庭料理シェフの女王と言えるアリスウォーターズ女史―Webimagesより

シェ パニスの料理は、彼女のフランスとイタリアの経験に強く影響を受けているが、それと同時に地元の農作物や、此の地域に住む多くの移民の家族たちがもたらした生活の知恵と固く結びついている。

彼女の料理の質の高さは、際立った独自のスタイルを確立し、最初から基本的な姿勢として、食材が五感に訴えるような特徴を大切にしていた。これは工業化農業とファーストフードの国においては、馴染みの無いものであった。

アリスは、60年代終わりにバークレーを中心としていた代替文化(オルタナティブ カルチャー)運動と言う、あの想像力豊かな環境の中で育った。その運動は、取りも直さず平和で調和のとれた自然との関係を取り戻そうするものであった。 この為に彼女のレストランは、最初から草創期の環境運動家たちが集まる拠点になって居た。

シェ パニスでは最初から常に有機農法の地域で採れた野菜しか使わなかった。彼女は、アメリカ合衆国の有機農法の普及運動の重要な立役者であると言うことが出来るであろう。彼女と数人の友人たちが70年代に、よりグリーンな農業を主張し始めた。

今日カルフォニアの有機栽培で採れる量を見ても、其れが持続可能なやり方で行われているのを見ても、彼女らの運動の結果が素晴らしいものであったことがわかるだろう。‥‥以下一部省略

‥‥しかしアリスは、単に天才的なシェフや持続可能な農業の擁護者であるだけではない。何年にもわたってずっと、私は彼女が自分の信ずる料理家として追求しようと決めた独創的なアプローチの別な面を見て来た。2000年のこと‥‥以下一部省略

 

世界に広がっているスクール エディブル ヤードーWebimagesより

‥‥彼女は私を 「エディブル ヤード」と言う、始まったばかりのプロジェクトに連れて行ってくれた。‥‥それはよく言われる学校農園、子供が作る農園であり、子供たちは其処で農業の基礎を学習する事になるが、重要なのは野菜について其の特徴と品質について知識を得る事である。

このプロジェクトの独創的なところは、食習慣のせいで、ガストロノミー的な学習のすべてが根絶やしにされてしまった都市において、子供たちが自分で食べるものを育てる事が出来る言うことだけではなく、栽培したものを如何に調理するかという事を学習するので、料理の基本を学ぶことが出来ると言うところにある。

このことから、「エディブル スクールヤード」(食べられる校庭)と名付けられたのである。アメリカ合衆国の大都市では、貧困層の子供や十代の若者たちが、もう家庭で食事をすることは無くなっている現状がある。彼らの両親が食事を作る事は皆無であり、家族が一緒に食卓を囲むことも無い。

食べ物は出来合いのものをスーパーマーケットで買ってくるか、ファーストフードを買って済ます事になる。食の知恵が白紙にされて居る最悪の状況があり、人々の健康に与える影響も同時に見られ始めている。

エディブル スクールヤードは、このような子供たちに、料理し、良い食材を見分け、自分で味覚と感受性を磨く事を教えてくれる。是非とも世界中で実施すべきモデルである。学校は食の教育に特別な注意を払うべきであり、アメリカの都市の郊外で起きているように、既に状況回復することが難しくなってしまう以前に、すべての学校で導入されるべきである。

アリス ウォーターズは、次のような視点から私の目を開かせてくれた。つまり彼女は子供にガストロノミーを教えるにあたって、遊び心の有る楽しい有効な方法を考案し、同時に健康的な昼食を与える事を考え出したことである。

彼女がスローフード協会の国際副会長に就任したのも偶然ではない。そのシェフとしてのキャリアは、料理人と言う厳格な枠を超えて、レストラン経営だけにと止まらず、ガストロノミーの持つ学際性のすべての境界を越えると言う発想の生きた手本だからである。

 彼女は、食の歴史で今までに見られなかったような、最も深刻な歪みを幾つも起こした、正にその国に於いて、ガストロノモであることの複雑さを、自分の毎日の暮らしに同化させ、食の世界での新しい提唱者となり、世界中に非常に大きな影響を与えた重要な人物である。

日記5:転写終了

 以上で転写を終わりにさせて頂きますが、世界には欠かせない、それぞれの国や民族が、当然守っていかねばならない大切な伝統食文化がある筈であり、それらの長い歴史の中で 「ガストロノモ」(美食の味覚達人)達の味覚に応えて培われて来た「食」の「ガストロノミー」(美食料理学術)、その要件を満たしている、著者のカルロペルニーニが言うスローフードが、あるのではないでしょうか。

 其れをもしも、日本の大衆食の「ラーメン」も亦と言うのであれば、それではお粗末の一語に尽きます。今や日本はインスタント食品からコンビニ食品と、ファーストフードで溢れ返っている、昨今の都市生活者の中にあってのあまりにも、刹那的とも言える食環境の漂浪する姿があり、まさに食の乱戦の下剋上時代の感があり、其れが一体この先は如何なって行き、日本人の将来に向かって受け渡せる何を以って 「食」の文化となり得るのでしょうか。如何なる事態に至るか、考える気にもなりません。それには唯、今こそ時宜を得たキーワードのSustainable―持続可能の一語に尽きる 「食」の根源的な大切さの原点に立ち返り、その意味をじっくり噛み締めるべき時と、痛感させられました。

尚、表題の後の方の著書 「ダイエットの科学」の読後感想は、別途時を改めて書かせて頂きます。

 

 ―レストラン「シェ・パニーズ」前に立つアリス ウォーターズ女史ーネット情報より

ー略歴-

1944年米国ニュージャージー州生まれ。カリフォルニア大学バークレー校でフランス文学を学ぶ。1965年、フランスに留学したことをきっかけに、フランス料理に興味を持ち、27歳のときにカリフォルニア州バークレーにレストラン「シェ・パニース」をオープン。地元で採れた旬のオーガニック食材を使った料理が評判となり、その人気は世界的なものとなる。近年は、スローフード運動、食育などの活動も行っている。

アリスが提唱する”食事を大切にして、人生を豊かに暮らす”という考え方は多くのアメリカ人の食習慣や食べ物に対する考えを変えただけでなく、世界に広がり、「おいしい革命」と呼ばれている。アリス・ウォータース はアメリカのシェフ、レストラン経営者、活動家、作家である。1971年にオープンしたアメリカ・カリフォルニア州バークレーにあるレストラン「シェ・パニーズ」の創業者であり、オーガニック、地元産の食材を使用し、カリフォルニア料理の先駆者として知られる。

以上

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