白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

野菜の矮性品種と早生種

2013年04月23日 | 野菜栽培

野菜の矮性品種と言っても、ピーンと来ない方が多いかも知れません。その矮性(Dwarf)品種、多くが遺伝子の突然変異とされて居るのでしょうが、欧米では相対的に個体重量が減るので取扱いが容易で栽培管理が楽になり、農業用品種としては労働生産性が高くなる点などが評価され、それなりの価値が認められていて、過ってアメリカではトマトで様々な矮性品種の育成が試みられたと言います。

 

―鉢植えドワーフトマトーWebimagesphotoesより

面白い事に日本では、この“Dwarf”(矮性)と言う用語、何か醜い奇形を表わす差別的な響きを持つと感じられているのか、全くと言って良いほど種子の品種表示には直接的には使われていません。日本人には、昔から「言魂」と言う、嫌な言葉を恐れたり、忌み嫌う言語感性のようなものがあり、それに照らしてなのか、「矮性」と言う文字ではイメージが大切なカラー刷りの「種袋」の表示には馴染まないと言う事のようです。

 

―ドワーフ作りの林檎Webimagesphotoesより

実は、毎年新プランター栽培で、トマト、ブロッコリー、スナップエンドウの栽培ローテイションで、年間を通じて新プランター野菜園芸を楽しんでいる老齢の姉宅に、少しでも手が省けたらと 「蔓無しスナップエンドウ」の苗を昨秋は植えさせました。

所謂 “Dwarf Sugar Snap Peas” であり、以前にブログでも紹介した、アメリカで生まれたスナップエンドウの矮性種です。

 

―蔓無しスナップエンドウの種ーWebサイトより

ところが、今年は特に冬の寒さが尋常では無かったせいか、又 「ヒヨドリ」の猛襲もあり、何とか凌いで開花結実を見たのですが姉曰く 「蔓無し!と言っても蔓は少しはでているのよ。それに今年の寒さとヒヨドリに葉を食べられたせいか背丈が伸びないで半分の高さなの!それに気候のせいか実成りがいつもより早いの今年は!‥‥」と。

成程、見ると60cm程の高さに伸びてびっしり実が付いて居るのですが、さやの長さが一寸短く、其のコンパクトさ、支柱いらずのまさに矮性種です。

 日本にも多くのミニ野菜種があり、ダイコン、ニンジン、南瓜、キュウリ、ナス、トマト等、数えたらいろいろ沢山の品種があるのですが、其の特性を「ミニ」と表示しても、種袋にはっきり矮性種と謳って表示している野菜は先ず見掛けた事がありません。ミニと言っても、唯果実が小さい等、必ずしも個体が矮性種とは限らず、其の識別がはっきりしていないのです。

 

―蔓無しいんげんはドワーフの定番―Webimagesphotoesより

以前に、「タキイ」の売り出した白菜のミニタイプと言う「お黄に入り」を新プランター栽培で育てたのですが、一株が食べ切りサイズの700~800gとありましたが、其の大きさで収穫できると言う事であり、収穫が遅れて、プランターに1月始めまで置いたところ、更に大きくなって、2倍以上の1.7キロにも成りました。

 

―新プランター栽培の白菜お黄に入り、1.7kgー

話が飛びますが、今では手ごろな価額での食べ切りサイズにと、キャベツや白菜が切り売りされて居ます。先のブログで触れたように、収穫しても生きている油菜科の野菜を真っ二つにすれが、含まれるビタミン類などの栄養成分が特に早く失われます。

そんな事を気にしない消費者が多ければ、生産者にとって、同じ一株が小さいうちに収穫できる栽培メリットも少なく、店頭に「お黄に入り」を見掛け無い所を見ると、種苗会社の思惑は外れたようです。

尤も、必要な野菜不足には、缶入りジュースで補えば事足りると(決してそうではないのですが)、新聞、テレビの宣伝で、日夜頭に刷り込まれていれば、野菜の価値観も消費量も変わり、気の毒なのは消費者あっての野菜生産者であり、販売者がそうするのも当然かも知れません。

 

 

―白菜お黄に入りータキイWeb通販より

扨て、其の矮性種ですが、一般的には、その味は二の次と言いますが、一方で多くが早生種です。言うなれば、普通より小さい個体で一生を終るには、その生育過程も早く経過しなければ、生存競争に乗り遅れる生物の進化の過程で生れた当然の競争能力なのでしょう。

 話は戻りますが、先の「矮性スナップエンドウ」は、一般のスナップエンドウより、今年は1カ月も早く収穫が始まりました。東京の3月の異例な気候の早まりもあったのでしょうが、矮性種が早生種と言う典型的な品種でもあるのです。但し、個体が小型化する分、収量は少なくなります。

 

―大玉ドワーフトマトーWebphotoesより

そう言えば、アメリカのトマト品種では矮性品種がかなりあり、トマトの特徴の定番表示に播種から収穫開始の標準日数をはっきり示し、早生種、中生種、晩成種と分けています。

それで、家庭菜園でのトマト栽培では、其の地域に合わせ、品種の早生種、中生種、晩成種を組み合わせて育てる事で長くトマトの収穫期を楽しみなさいと、各品種を組み合わせた栽培を種苗販売で推奨しています。

 尤も、日本では一般に手に入るトマトの矮性種といえば、「レジナ」と言う品種だけと言って良い程少なく、それを望むべくも無い事ですが、日本のトマトの殆どが施設園芸栽培品種となり、トマトの早生種、中生種、晩成種は最早、死語となっているようです。

 

―新プランター栽培トマトを収穫してポーズする孫二人―

そんな事からか、トマトの見識に乏しい一部の人達の中には、促成や抑制栽培が定番化した日本のトマト品種が本当のトマトと思っている方が居るようで、「トマトは、本来夏野菜では無い!」と言う人も居り、季節に合わせた露地栽培の難しくなったトマト栽培へのヒステリー症状でしょうか、情けないと言うよりも、何か「気の毒」な思いが致します。

 

新プランター栽培でトマト、麗夏を採る孫娘ー

日本でも、食べても美味しく、丈夫で作り易い矮性トマト品種が普及する事を望んでやみませんが、さて何と命名されて差別化が図られるかが楽しみです。

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