(昨日の告示とは異なりますが、ご容赦願います。)
今日12月8日は、日本海軍が真珠湾を奇襲攻撃した日です。また、昭和55年に新婚旅行でハワイに向かった日です。ハワイに着いたのは時差の関係で7日でした。やはりハワイが攻撃された日です。
日本とアメリカが太平洋で戦争をしたということを知らない世代が増えているとか。こんなことでは現在大きな問題となっている沖縄の米軍基地の問題の根底、なぜ沖縄に米軍基地があるのかということは理解できないでしょう。今回はその問題には触れませんが、ハワイと戦争ということで・・・・。
今年出版された本に「棄民たちの戦場~米軍日系人部隊の悲劇」(橋本明著)があります。朝日新聞の書評にも取り上げられたし、個人的には気になっている本なのですがまだ読んではいません。日系人により構成された”第442歩兵連隊”のイタリア戦線におけるドイツ軍との戦いを取り上げているようです。
それを読んで、我家にもそれと似たような本があることを思い出し、先週読み終えた本があります。 真保裕一著「栄光なき凱旋」(上下)です。上下巻あわせて1,300ページにも及ぶ大著ですが、読んだ人はいるでしょうか。日本海軍による真珠湾の攻撃により、すっかりその後の人生を狂わされてしまった日本人の移民及びその子どもたち(日系アメリカ人)、ハワイとアメリカ東部に住む彼らの悲劇を見事に小説化しています。雄大な構想及びその筆力に脱帽です。
この小説でも、第442連隊の戦いを描写していますが、それだけではなく日系人ということで日本との戦争に刈り出された若者たちのことも大きく取り上げています。あらゆる手段を講じて日本軍の情報を得るべく教育された日系アメリカ人。アメリカ人とはいってもアメリカ人の血は全く入ってはいない、アメリカで生まれ、アメリカで育った日本人、そのため親の世代とも価値観や考え方も異なる彼らが、それぞれの事情でアメリカ軍に入隊し、アメリカのために日本軍、日本人を攻撃し、殲滅する。情報という手段によって。
その中でとくに気になったことというか、そうかそういうことなのか、そういうことが続いているのかと納得させてくれるような描写がありました。日本軍の情報、情報管理について書いていることです。
・・・日本軍を縛っているのは、体罰や過酷な命令への恐怖、恐怖によって縛られている。 だから、捕虜となって軍規の恐怖から開放されると、敵に情報を打ち明けてしまう。 アメリカ軍は合理的、日本軍のように命令を書面に残すという愚を犯さない。 兵士に日記の習慣をやめさせるべきなのに、誰も気がついていない。日本人は生真面目。・・・・
そういう訳で、アメリカ軍は日本軍の兵士や将校の日記や書簡を大事にし、収集したわけです。 日本人の情報管理があいまい、なおざりなのは昔からの伝統?なのですね。 ここにきて個人情報管理とかうるさく言われてくると、今度は過度に適応しようとする。ここにも日本人の生真面目さが反映されているのでしょうか。
そういう日本軍の情報管理は、日清、日露戦争に勝ち、第一次世界大戦でも漁夫の利を得てきたため、そして日中戦争でも形としては負けてはいなかったため、日本軍は負けるはずがない、常勝日本軍である、だから敵に情報が漏れることなんかありえない。だから情報を隠す(管理する)必要がない、そういう底流がずーと続いてきたとか。
考えさせられました。 (それにしても”そういう”ということばが多すぎました。熟慮の上で書いているからではないからです。恥ずかしい。)