鮎と戯れて・・・魚族に感謝

東北地方を中心とした短い夏のあまり多くない鮎釣りの記録。家族に感謝して。近くの広瀬川の環境等にも拘るも、オフは時事問題も

雪と雀と、井上ひさし

2013-02-06 21:41:00 | お知らせ

 一日中小雪が降りました。水分が多い雪です。 重いけど踏まれたりするとすぐ解けます。細かい雪だったので大して積もることなく、ほっとしました。

 午前中はひとりこたつに入ってラジオの音楽を聴きながら本を読みました。 奥さんは趣味の集まりで外出しました。 何かとっても静かな落ち着いた贅沢なひとときを過ごしたような気持ちです。

          

 井上ひさしの本です。 

 先週は 『グロウブ号の冒険』を、今週は 『黄金の騎士団』 です。ともに未完の長編小説です。

 『グロウブ号の冒険』は岩波書店の月刊誌”世界”に掲載されていたのですね。1987年から1989年にかけて16回連載されたとのこと。360ページの未完。

 東大での相撲取りが、新弟子を探しにカリブ海方面に出かけたときに起きる出来事がおもしろおかしく描かれています。宝探しまでの隠された謎解きが何ともユニークで、さあこれからが本番でおもしろくなるというところで中断となってしまいました。

 その頃の日本は土地バブルに踊り狂い、地上げが横行しました。拝金主義に対するアイロニーとしての作品としようとしたのでしょうか。

         

 きょう読み終わったのは 『黄金の騎士団』 ですが、こちらも未完とはいえ600ページを超えています。 親に捨てられ、孤児院で育ったこどもたちが主役の物語で、いろんな方面で天才的な能力を持っているこどもたちが、子どもが中心の子どもも国をつくるべく知恵を出し合って奮闘する物語です。

 そのためには莫大な資金が必要となる。 その原資をどうやって確保するか? それが先物商品取引なのですね。 ロンドン金属取引所でのニッケルの取り引き、シカゴの穀物取引所での大豆の取り引きで日々の相場とにらめっこしながら巨額の資金を入手する。 その説明が分かりやすい。

 お恥ずかしながらこの小説を読むことによって、はじめて先物取り引きの概要が分かった次第です。それでもまだ不完全ですが。 井上ひさしはよく勉強したのです、さすがです、大したものです。

 これから悪徳政治家をやっつけて、山間の自然豊かな土地を購入し、自分たちの世界、こどもの国を建設して行こうというというところで中断のまま未完となってしまいました。 惜しい!! 1988年6月から1989年7月まで夕刊フジに297回の連載で止まってしまいました。 『グロウブ号の冒険』 と並行して執筆していたことになります。

           

 惜しいと言えば、去年読みましたが 『一分ノ一』、米ソ英中4か国のスパイ網と戦うみちのくの地理学者の物語。 これも未完の小節ならぬ小説です。 地図にかける情熱、天晴でした。  こちらは「小説現代」に1986年から1990年にかけての連載で、これも未完。

 

 何とも惜しい才能の持ち主を失ったものです。

 

 雀の写真はこたつから撮ったものです。 すぐそばが道路になっています。 雪と雀、様になりませんか?


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