秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

福島県の合唱のつよさ

2011年09月12日 | 囲碁界への提言
なぜ、合唱?


 2~3年前でしたでしょうか、福島県内のテレビ番組で、
 「音楽関係者で、福島県の合唱を知らない人はモグリ」
 という話がありました。NHK総合で放送された、『みんなのテレビ』という福島県内の情報を扱う毎月一回の番組。福島県代表になった中学・高校の合唱部は、全国大会で何度も上位入賞をしているというニュースを何度も聞いています。しかし、本当にそうなのか、なぜそうなのか、その理由を番組を見て初めて知りました。

 福島県を代表する学校といえば、福島県立安積黎明(あさかれいめい)高等学校のコーラス部。福島県の人間にとっては、共学化前の安積女子高等学校の名称の方が耳になじんでいます。全国大会に出場すれば常に上位入賞、優勝するかどうかが話題になる程の強豪だそうです。共学化前からカウントすれば、NHKのコンクールでは過去15回の日本一。全日本合唱コンクール(朝コン)の全国大会では31年連続金賞受賞、最優秀を受賞したのは23回。
 一地方の県立高校が圧倒的な記録を打ちだしている。なぜ、それほどの記録を打ち出せるのでしょうか。安積黎明(旧・安積女子)に限って言えば、「言葉を大切にする教育」が受け継がれているためだそうです。
 また県単位で見れば、福島県郡山市が「東北のシカゴ」と呼ばれるほど治安の悪かった時代、治安回復の一環として市民による合唱の活動が行われたところから、『合唱の強豪・福島県』が始まったそうです。

 では、福島県内で合唱を教える環境はどうでしょうか。

1≫県大会参加校が多い。
 中学・高校の県大会に参加する合唱部は、他の都道府県に比べて圧倒的に多いようです。加えて当然ながら、合唱を学ぶ児童・生徒の人数も多い。団体や人数が多ければ、県内での競争が激しくなり、ここの実力が向上するのは当然でしょう。

2≫指導者の質の高さ。
 私が記憶する限りでは、福島県内で歌を専門に学ぶ大学は無いはずです。そこで、東京などの音大で教員免許をとりを卒業した方が福島へ戻り、中学や高校で合唱の指導に当たる。常に最高レベルのレッスンが受けられるようです。

3≫県全体での連帯感。
 「福島県の合唱部は、本当に仲がいい」というのが、他県合唱関係者から頂いている評価だそうです。大会に参加する生徒・児童のみならず、指導者同士も敵対感情がまるでない。指導者の場合、普段から連絡を取り合い相談をしあい、合唱指導の実力の研鑽を行っている。さらには全国大会には他の学校の指導者も駆けつけ、発表の直前までレッスンの手伝いをする事もある。福島県以外の都道府県では、ここまで熱心に他校の応援をする事は考えられないのだそうです。
 こういった仲のよさは、生徒にも指導者にも余計なプレッシャーを与えず実力を発揮させる、そんな効果もあるのでしょう。




指導者よ、大いに学びあえ


 こういった福島県の合唱指導の環境、囲碁の普及指導の参考になる事はあるのでしょうか。
 囲碁大会の参加者を一気に増やす、それは現実上は難しい。しかし、囲碁指導者同士の関係を強化する事なら、すぐにでもできるはずです。

 囲碁指導の難しさは、特に囲碁入門については、熱心に囲碁指導をされている方なら良くご存じです。以前、囲碁未来という囲碁雑誌で連載されていた「わたしの教え方ノート」で、木下かおりさんもそれについて指摘されています。囲碁を教える人が強いかどうかの問題はもちろん、
 「囲碁指導・入門指導についてどれだけ学び、どれだけ準備してきたか」
 という事も欠かせません。ルールや知識に限らず、囲碁を学ぼうとしている人の気持ちを察する心得や、入門者の年代や性別に対する理解、ありとあらゆる事が指導者には求められるのです。

 さらに付け加えれば、囲碁の専門新聞『週刊碁』の対談にて、
「囲碁指導の研究は殆どされていない。プロ棋士はもっと、囲碁の普及活動やその研究に力を入れるべきではないのか」
 という苦言を、囲碁普及の第一人者である石倉昇先生(現役のプロ棋士)がされています。東京近郊、愛知県近郊、大阪府近郊など、日本棋院や関西棋院が近い土地では囲碁入門が催されていますが、そこから離れた地域では、プロが囲碁指導をするということは滅多にありません。そういった地域では地元在住のアマチュアが担っていますが、普及に関する熱心さや技量などは大きな格差が生じています。
 これが、「囲碁の文化の国」日本の現状のようです。

 色々と問題はあると思いますが、まずは、「囲碁指導者同士の勉強会」を開くことから始めてみるというのはどうでしょうか。


※朝積黎明高校コーラス部と、音速ライン(男性ユニット)のコラボ計画が進められているようです。第2弾として、音速ラインの代表作『空になる』の合唱バージョンをネット配信、収益金全額を寄付されるそうです。



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