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リビアのジハーディスト勢力「アンサール・シャリーア」が解散

2017-05-29 07:30:19 | アフリカ情勢
5月27日(土)、ラマダン入りのちょうどその日の夜、リビアのジハーディスト勢力として名を馳せてきた「アンサール・シャリーア」がインターネット上に声明を掲載、「解散」すると発表した。報道によれば、声明の中で「カリファ・ハフタル元帥の軍との戦いの中で弱体した」ことを認めた。


アンサール・シャリーアはリビア、特に東部沿岸部のベンガジ、さらに東にあるデルナを本拠とするイスラム武装勢力で、源流は「アル・カイーダ」にある。創設はカダフィ体制崩壊が進みつつあった2011年。同年9月11日にはリビア東部沿岸の都市ベンガジで、アメリカ総領事館襲撃テロを実行、米大使を含む4名が死亡した。国連やアメリカからは「テロリスト」指定を受けていた。


アンサール・シャリーア弱体化の大きな要因として、2014年末に指導者のモハメッド・アッザーウィがベンガジで殺害されたことが指摘されている。

(YouTube/MaliWitnessより)


ベンガジはカダフィ体制崩壊後、国民革命の一つの拠点となり、「リビア国民評議会」が置かれた。しかしその後、別のグループが「キレナイカ評議会」を発足。混乱の極みに陥った。

こういった中、前出のハフタルは2014年「リビア国軍(Armée nationale libyenne: ANL)」を自称。アンサール・シャリーアに対して宣戦布告した。そしてほどなく、指導者指導者のモハメッド・アッザーウィがハフタルの軍によって殺害された。


アンサール・シャリーア弱体化のもう一つの要因として、多くの構成員が、リビアで勢力を拡大したいわゆる「イスラム国」(États Islamique)に流れていったことが指摘されている。アンサール・シャリーアは、かつてはリビアのみならずチュニジア、モロッコなどマグレブ諸国からの青年を集め、ベンガジで訓練。リビア戦線のみならず、シリアやイラクに兵員を供給する機能を有していた。しかしアンサール・シャリーアの東部分派がイスラム国に忠誠を誓い、また主要メンバーも離脱すると、勢力は衰退の一途を辿った。


一時、勢力を拡大したアンサール・シャリーア、リビアにとどまらず、アフリカ大陸北部情勢を握る、大きな存在であった。しかし歴史の趨勢の中で弱体し、解散にまで追い込まれた。

だがこのことはリビアの安定化も、テロ勢力の弱体化も意味しない。むしろ主導権を得たジハーディストたちの新たな不安定化やテロ襲撃が危惧される。

(おわり)

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