ベルのきもち

日常のささやかな幸福感を書いていきたいと思います。

ユーモア・クライム・ミステリー『泥棒は几帳面であるべし』

2014-03-09 11:30:16 | 本の紹介
byマシュー・ディックス。高山祥子訳。創元推理文庫。

マーティンは留守の家からものを盗む空き巣。でもガラスを割ったり、家のものを壊したり、汚したりはしない。
盗むものは冷蔵庫や食料貯蔵庫にある、バターやドレッシングなどの予備の食料品や洗面所の戸棚にある、これまた予備のシャンプーや歯磨き粉などの日用品。宝石箱からはあまり使われていないイヤリングなど。イヤリングをもちだすときはまず片方のそれを盗み出し、様子を見て何か月後にもう一方のイヤリングを盗るというやりかた。つまり家人になくなったかどうか気づかれないようなもの。
盗みに入る先もまわりの環境、侵入経路、留守になる時間帯、家族構成などしっかり下調べしてからという念の入れ方。
入った先の部屋やクローゼット、ひきだしや戸棚のなかをデジタルカメラで撮影し、すべてもとどおりにして、自分がそこの家に入ったという証拠をすべて消し去る、彼なりの美学を持っている。
こうした盗みをかれこれ10年も続けていたが・・・
ある家で彼はうっかり便器に電動歯ブラシを落としてしまったところから、彼の運命の歯車が狂い・・・
後味、さっぱり。清涼感さえ漂う・・・几帳面なイケメン泥棒の物語。
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