思索の海辺

壮年部・那由他楽人の個人的思索を書き付けておくブログです。
主に創価学会関係。*今更ながらTwitter開始。

ひとりを大切に

2011-01-25 01:13:37 | 書籍引用
 それでも、自分を気にかけてくれる人、自分を受け止めてくれる人を一人得たことで、私はある意味救われたのだと思いますし、それはそれで宗教的な行為だったのかもしれません。
 宗教家のなかには、一方的に自分の話だけを押しつける人もいます。聖書やお釈迦様の話をしなければ、宗教的行為ではないと思っている人もいます。
 でも、「目の前の人を大切にする」という、彼がしたことも、宗教家だからできたことなんじゃないかなと私は思います。私は彼の行為の中から、人間にとって大切なものはなんなのか、少しだけでも学ぶことができたのだと思います。

《林 尚実 著「ひきこもりなんて、したくなかった」p.94》

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 故あって読んでいた本より、抜粋させていただいた。
 
 少々説明すると、著者は学校や家族の問題で、中学2年生から引きこもりを余儀なくされた。その後、治療を受けるはずの診療所等で逆にさらに追い詰められ、状況はますます悪化する。
 そんな中、18歳になった著者は、ふとキリスト教の教会に立ち寄る。しかし、しばらく出入りしているとそこの牧師に「他の人とも溶け込めないし、信仰心があるようでもない」といわれ、こんなところへは来ないほうがいい、と言われる。
 教会を出ようとしたとき、声をかけてくれた青年がいた(後に「牧師見習い」とわかる)。青年は著者を喫茶店に連れていき、ただ話を聞き続けた…という場面である。

 この部分を読んで、私は正直背中に冷たいものを感じた。
 
 私たちは常日頃、「一人を大切に」といって活動している。
 しかし、それは何のためなのだろうか。
 話を聞き、励まし、結果として「戦力」を求めてしまってはいないだろうか。

 池田先生は、本当に「一人」を大切にされる。
 何年経ってもその「一人」を思い、気にかけられる。

 「何のために」…これを見失うことは、信心を見失うことに通じるのかもしれない。