志情(しなさき)の海へ

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『宝島』は『オール讀物』で第一部を読んだだけですが、佐藤 優さんが売り上げに貢献の問題提起?

2019-06-16 10:47:27 | 小説

『オール讀物』では宮部みゆきさんと真藤順丈さんの対談が面白いと思いました。最近病人の介護で時代劇チャンネルのおつきあいで、宮部みゆきさんの時代劇作品の映像が流れています。「おそろし 三島屋変調百物語事始」 を見たりしています。感情動物人間の悪意や善意、運命のいたずら、因果関係や「のろい」などが物語りになっていますね。なるほどです。定番の時代劇は多く、文芸物はちょっとひねられているようです。

佐藤優さんの問題提起は、つまり「暴力の島」の印象を与えないか、や「慎重にしたい政治への引用」ですが、あくまで真藤さんの『宝島』はフィクションであり、その世界を丸ごと読者が受け入れるとは思えません。BOOK OFFで小説を買ってきて全編読んで読後感でも書こうと思っていたのですがーー。それは後でーー。

これは前に歴史研究者が熱心に批判して、いくつかの論文まで登場した『テンペスト』を思い出させます。池上永一さんは近世末期から近代にかけての琉球王朝を描いたのですが、薩摩や清との狭間にあって苦吟した小さな王朝の物語を現在に生きる女性たちにラブロマンスとして提供した時代小説ですが、結構売れたのですね。テレビドラマ、舞台化もされ、舞台を観に東京へ行きました。何かのついででしたがー。

小説の中の琉歌の表記について大御所の大城立裕さんが批判したりもしました。近世末期の琉球史の専門家が史実と比較もしていい論文も出ましたね。当時なかったはずの南洋桜まで登場し、また近代の雑踊り『花風』まで登場させました。雑な中で物語のロマンスは引き付けたのです。

さて現在その小説は読まれているのでしょうか?消費されてBOOK OFFに並んでいるのでしょうか?永遠のベストセラーにはならないのでしょうか?ひょっとしたら『宝島』も同じ運命でしょうか?

昨今、すべてが、つまりテレビやラジオのニュースも含めて、演出されているのは既成の事実で、ドキュメントも含め、フィクションだということがわかっています。どこに真実があるのか、と問うと、事実はあっても真実はないさ、と新城貞夫さんが風刺を込めて言い返しそうです。

「コザ暴動」も無数の体験談があっていいのです。フィクションが登場したからと言って事実は変わりません。コザに暴動があって多くの米軍人車両が焼き討ちにあったのは事実です。佐藤さんの指摘が事実なら、東京の官僚の皆さんの認識力はかなり稚拙だということになります。「沖縄人が暴力的爆発を起こし戦争のような状態になる」はありえませんね。コザ暴動の時もありえませんでした。かえって東京や大阪や福岡で妙な暴力事件が起こっています。

「われわれと異なる思考と行動をする人々が住んでいるという不気味な感想を日本人に与える可能性があることを併せて考える必要がある」は、逆に挑発的にそう思い込ませたい佐藤さんの誘導でしょうか?

死を美化してきた日本中央の思考と異なり、「命どぅ宝」の思考を持っている沖縄です。実際古典芸能にも近代の演劇にも沖縄には心中がありません。

しかし、戦争の修羅場以降、多くの沖縄の特に女性たちが暴力的に殺されてきた事実は消えません。まだ真実は事実の半分も明らかにされていないのでしょう。大きな暴力になぎ倒されながらも、必死に生き抜いてきた戦後沖縄の現在ですよね。復帰前のゼネストは回避されたのですが、怒りが島を覆いつくしたことはありました。しかしそれが現在の香港に見るような状況には及びませんでした。多くの民衆の復帰運動はうねっていましたね。日本本土と沖縄双方の炎が燃えていました。嘘のようです。反復帰論も沖縄インテリ層の中に起こり、現在もインパクトを持ち続けていますね。

結論として佐藤 優さんの憂いは「おおげさ」で、しかし沖縄の憲法学者が指摘したように、いざとなると機動隊だけではなく大きな暴力は自衛隊の姿で沖縄を逆に襲ってくるのではないでしょうか?




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