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作家池澤 夏樹さんの「伝統を踏まえた大胆な実験」『琉球文学大系』月報2,に驚く!

2022-11-27 20:09:13 | 沖縄文化研究
先週恩師の瀬名波榮喜先生のご自宅でゆっくりお話をする機会があった。その時、先生はご自分が書かれたエッセイ「琉球演劇ーアリストテレスの悲劇論の視点から」が掲載された『琉球文学大系』月報2を下さった。三隅治雄さん、宜保榮治郎さん、池澤夏樹さんのエッセイがご一緒に掲載されている。

驚いた。池澤さんは、沖縄の現状認識が疎い。
仲田幸子⇒北島角子
大宜味小太郎ー故人
今では公演もありえない乙姫劇団や笑築過激団が登場している。
「遁ぎれ結婚」は沖縄芝居に似ていると評している。現代新作組踊だが、その指摘は別に問題はないとしても、それを現在存在しない「乙姫劇団」や「笑築過激団」が演じていいいかもしれないと、書いている。
「さかさま「執心鐘入」」はドタバタ劇だ。そうだろうか?パロディだが喜劇だ。

『琉球文学大系』の月報がおそまつだと、世間はその価値を認めないという事はないと思うが、少なくとも軽んじる可能性はある。

それにしても編集事務局は著名な先生方の原稿の中身を確認していないのである。読めば基本的な間違いがわかると思うのだが、訂正することさえためらわれたのだろうか。

恩師の瀬名波先生のエッセイは読み応えがあったが、西欧文学に馴染んだ方々には面白く、わかりやすいかもしれない。しかし先生はミスを犯していた。沖縄芝居女優瀬名波孝子が「泊阿嘉」はシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の翻案だと話したことは、間違っている。昭和36年に山里永吉が京都大学図書館で発見した写本の「恋路の文」が原作だと知られている。矢野輝雄は『沖縄芸能史話』で原作と「泊阿嘉」や「薬師堂」の比較を詳細にやっている。瀬名波先生はなぜ調べなかったのだろうか。

先生のエッセイに関連して、以前「悲劇的リズムー西洋演劇と沖縄演劇の比較ー「オィディプス王」と「執心鐘入」を中心にー」を書いたので、興味のある方はネットで調べて読んでほしい。

三隅治雄さんのエッセイは琉球沖縄芸能の柱が歌だという事は読ませたが、最後のご自分の作品への言及は、自己顕示欲がこうして出てくることに、ちょっと興ざめした。

宜保榮治郎さんの「屋部の村踊り概説」は、ご自分の生まれ育った村の踊りについてなので、手堅く落ち度はないと見えたが、すでに名護市史や屋部区の書籍などで紹介されているのかもしれないと、ふと思ったが、どうだろう
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