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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

清明祭の季節

2011年04月12日 | 那覇、沖縄

 沖縄は今、清明祭の季節です。墓所の前に親族が集まり行なわれる儀礼で、沖縄の方々は土日は大忙しでしょう。息子のテニスの練習も、清明祭を理由に何人かが欠席したそうです。
 昨日、道を歩いていたら面白い光景に出会いました。山の斜面に空いた複数の穴。これは沖縄の墓地のあとです。現在はだいぶかわりましたが、従来の沖縄の墓地は、本土の墓地とは違い、横穴式であることが多いのです。
 宅地造成で近年、大型の墓が次々になくなり移転を余儀なくされています。写真の界隈もたぶん100以上の大きな墓が姿を変えて宅地に変わり、数年後にはマンションが立ち並ぶのでしょう。
 ふと墓はどこ移されたんだろうと思いました。清明祭の季節でなければそんなことを考えたりしなかったのでしょうが、墓所の前での親族たちの賑わいが消え、横穴だけが残り、緑色の樹脂で固められた造成途中の斜面が、通る人々に何かを訴えかけているような気がして、つい立ち止まってしまったのです。一生懸命、その声に耳を傾けたのですが、結局、たまに通る車の音や気まぐれな風のざわめきに消されて、何も聴き取ることができなかったのが、心残りです。