Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

バリのBONSAI

2007年09月27日 | バリ
 日本の文化である盆栽は、今や日本だけのものではない。20世紀末から世界に広く知られるようになり、英語でも、インドネシア語でもBONSAIである。さて、そのBONSAIだが、9月にバリ島サヌールのグランド・バリビーチ・ホテルの前の海岸で盆栽展示会が開かれた。
 私がたまたま通りかかったのはまだ朝8時過ぎだったが、大きなテントがいくつも並び、多くの見学者が一つ一つの鉢を食い入るように見ている。日本で盆栽市や展示会などには行ったこともなく、日本人がどのようにこれらを眺めるのか見当もつかないが、やはりマニアにとってはその樹形をじっくり楽しむのであろう。
 さてインドネシアのBONSAIであるが、とにかく「でかい」のである。日本の盆栽にはたぶん「わび」「さび」の世界が詰まっているのだと思うが、インドネシアのBONSAIにはそのような「日本の美学」は全く感じられない。さらに大きいだけでなく、赤や黄色の花をたくさんつけて、パッと明るいのである。しかし、その枝ぶりや幹の形などは相当にこっているように見える。ものによっては、展示会にもかかわらず、枝や幹には針金がぐるぐる巻いてある。こういうものは、展示会でははずすのが一般的であるような気がする。盆栽の作り手が私に声をかけてきた。
盆栽を作った男「君は日本人か?」
わたし「はいそうです。」
盆栽を作った男「わしの作品をどう思う?」
わたし「すごく派手ですね。」
盆栽を作った男「形はどうだ?」
わたし「日本にはない独特なものです」
盆栽を作った男(嬉しそうに)「ありがとう。」
 私は別に褒めたわけではないのだが、彼は日本人の私の意見が聞けたことが嬉しかったらしい。私はただ単に日本人であるに過ぎず、盆栽のことなんてこれっぽっちもわからないのだが。
 ところでサヌールにはBONSAI CAFÉなるカフェ・レストランがある。ちなみに店の周りはBONSAIだらけであり、コーヒーを飲みながら美しいBONSAIをじっくり鑑賞できる。もっともBONSAIであり、盆栽でないことを付け加えておこう。