Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

車輪付き火葬塔

2007年09月04日 | バリ
 バリは今、火葬の季節である。どこもかしこも火葬の準備で忙しそうだし、街は頻繁に火葬行列(仮装行列ではない)の通り過ぎるのを待つための渋滞で混雑している。ウブドでは7日に王族の火葬儀礼があり、今は街をあげての準備で大忙しだった。
 さて、今日もデンパサールの街中で火葬の行列があって、渋滞に巻き込まれる。どうせ10分は待たなければならないのと、ガムラン・アンクルンの音色に誘われて「見物」に切り替え、なんとかバイクを歩道にのりあげて停車させた。だんだん行列が近づいてくる。ポクッ、ポクッ、ポクッと拍を刻むカジャルの音がだんだん大きくなる。少し胸が高鳴る。行列の先頭で演奏するガムラングループの後ろには、大きな火葬塔を担いだ人々が続く。とそのとき、この火葬塔の動きが妙に早いことに気づいたのである。おかしいぞ。あまりにもスムーズに動きすぎている。私はその火葬塔を凝視する。
 そのとき、発見したのである。火葬塔は、4つのタイヤの大きな台の上にのせられているだけで、なんと人々は担ぐ「フリ」をしているだけなのだ。つまり、車にのせられて、押されているだけなのである。なんと楽になったことか!
 デンパサールでは車の渋滞を避けるためにできるだけスムーズに移動できるこの車付き火葬塔が結構出回っているらしい。特に十字路などでは、火葬塔をその場でグルグルまわすのだが、その動きはまるで自転車を走らせているようだった。渋滞緩和はもっともな理由だけれど、実際のところはかなりの労力削減につながっているわけで、本音はどちらなのか?そんなことを考えながら、楽しく火葬行列見学のひと時を過ごしたのだった。