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院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

「音楽療法」の陥穽

2011-09-14 10:23:40 | Weblog
 インド音楽は西洋クラシックと比肩するほど洗練されているというが、私にはインド音楽のよさが分からない。

 昔、ラビ・シャンカールというシタール(インドの弦楽器)の名手が来日した。生ではなくテレビで見た。すごいテクニックだったが、理解できなかった。インド音楽にはラーガという「調」が沢山あるらしい。そのラーガは「夜明けのラーガ」など、時間や季節によって使い分けられるらしいが、ぜんぜん分からなかった。

 西洋人は日本の伝統音楽が理解できないらしい。琴や三味線、尺八が分からないと言う。

 思うに音楽も言語と同じく学ぶものではないか?学んでいるうちに、よいと感じるようになるのではないか?初めて聴く音楽より、何回も聴いた音楽のほうをよいと感じるのはなぜか?というのはアリストテレスが出した問いである。

 精神医療分野で効くのか効かないのか分からないけれども、「音楽療法」に熱心な人がいる。自分の心がこんなに安らぐのだから、病者も安らぐだろうという単純な発想である。

 「音楽療法家」は西洋クラシックを用いることが多い。彼らはクラシックに馴染んでいるから、クラシックをよいと感じるのだろう。でも、すべての人がよいと感じるかというと、そうは問屋が卸さない。

 上に述べたように、音楽は言語のように学習して初めて鑑賞できるのだとすれば、別の文化圏の人や、その音楽に馴れていない人には「音楽療法」は無効だと思う。つまり、知らない外国語による精神療法と同じである。

 私には「音楽療法家」が独りよがりに見えてならない。

 ラビ・シャンカールの演奏は以下。
http://www.youtube.com/watch?v=4gWCiLexilY