【ストーリー】
お春が妊娠し半兵衛の周囲は喜びに沸くが、殺し屋が子供を持つことに抵抗がある半兵衛は喜ぶことができない。
一方その頃、江戸の街では油問屋組合が主催している神明講(ねずみ講)が流行していた。
神明講は相模屋伊三郎の発案かと思われていたが、実は与力の村上が伊三郎を強請り無理やりやらせているものであり、伊三郎の妻・おみのもすでに村上の虜になっていた。
村上は神明講の金を着服しその罪を油問屋組合頭取・玉木屋市兵衛にかぶせ死罪とし、村上を訴え出ようとした伊三郎も殺した。
おせいは村上とおみのを始末するように命令するが、おみのはお春と同じ身重の身…まもなく父親になる半兵衛におみのを殺させることはできない政吉は「今回の仕事は絶対にするな」と半兵衛に懇願する。
【知ってるゲスト】
小松方正、赤座美代子、古川ロック、日高久
【名シーン】
①半兵衛と政吉
おせいからの命令を受けた半兵衛と政吉は帰路に着く。
政吉「半兵衛さん、今度は本当に絶対やめろよ!
おかみさんもおかみさんだよ、子供も生んだこともねえくせに。
半兵衛さんが親になろうなんて気持ち分かりっこねえんだよ、あんなもの!」
半兵衛「やめろ、政吉!」
政吉「ええ?」
半兵衛「おかみさんのこと悪口言うのよせよ、おかみさん関係ねえんだから」
政吉「何言ってんだよ!半兵衛さんさ、ええ?本当に親になろうって気持ち嘘じゃねえんだろうな?どうなんだよ!
半兵衛さん…俺あんまりうまく言えないけどさ、な、こんな時にさ、そんなのってねえだろ。
男は…弱くなる時だってあるじゃねえか」
半兵衛は立ちふさがる政吉を払い飛ばす。
政吉「半兵衛さん!」
政吉は半兵衛の前に回り込み土下座をする。政吉の意外な行動に困る半兵衛。
半兵衛「…おう、立てよ…よう、立てったら!おい!」
政吉「やらねえだろうな?」
半兵衛「おう…」
政吉「本当かよ!」
半兵衛「分かったから立てよぉ…」
政吉「絶対にだぞ、ええ!?」
半兵衛はしばらく考えうなずいた。
半兵衛「俺帰るよ…」
↑普段はならず者のような政吉も子供を持つということの重さを分かっていた。
↑なかなか折れない半兵衛さんも政吉の気持ちは痛いほど分かっているのだ。
↑一方おせいさんも何かを考えている様子…。
②殺しシーン
半兵衛に殺しをさせないため、約束の刻限より早く殺しに行く政吉。
風呂にいる村上に短刀を突きつけた時、半兵衛が現れ彼もまた村上に剃刀を突きつけた。
約束を違えた半兵衛に怒る政吉は、半兵衛をビンタする。
半兵衛「来ねえわけにいかねえだろ!…行かしてくれ、一緒によ…」
政吉「……」
半兵衛「……な?」
政吉も半兵衛の気持ちを知り、二人でおみのの始末に向かう。
しかしおみのはすでに死んでいた…何者かの気配を感じる二人。
おせい「仕事は明日のはずでしたね…そちらは済みましたか?」
政吉「おかみさん…」
おせい「半兵衛さん、お春さんの具合いかがですか?」
半兵衛は軽くうなずく。
おせい「そう…明日午の刻、両国のあずま屋でお昼ご飯でも…待ってます」
↑見つめ合う二人。小松方正さんはすでに空気だ(笑)
↑仕事屋として、友として、泣きそうになりながらも仕事へ向かおうとする半兵衛さん。
↑政吉もそれを知り折れてしまう。二人ともとてもいい表情です。
↑おせいも政吉と同じく半兵衛に身重の女の殺しはさせたくないと思い、自ら手を下してくれていた。
おみのを始末したことに触れることもなく去っていくおせいさんがかっこいい。
ちなみにおみのの妊娠は嘘でした。
③ラスト
お春が店に帰ってきた。しかし何やら落ち込んだ様子。
半兵衛「おう、おかえり。どうした、なんだよお前、気分でも悪いか?ほら…ほら、水」
お春「お腹の子供間違いだって…」
半兵衛「ん!?」
お春「お医者さんの見立て違い…あんた喜んでなかったからよかったわね…」
呆然とする半兵衛。彼は懐から竹の貯金箱を取り出す。
お春「何それ?」
半兵衛「ん?…お前に子供ができるって言うから銭貯めてたんだよ…」
貯金箱をお春に渡す半兵衛。お春はそれを胸に抱き涙を浮かべる。
半兵衛もまたお春を抱きしめ慰めるのであった。
↑半兵衛の本当の気持ちを知り、それがなおさら堪えてしまう。
↑どうしても子供が欲しいお春。だけど25話では…。