【ストーリー】
記憶を取り戻したおばさんは、息子・新太がいる熊谷に向かう。
新太は里親に引き取られ幸せに暮らしていたが、その里親が経営するそば屋は名主の清右ヱ門の仕掛けた罠にかかり借金20両の肩代わりに立ち退きを要求されていた。
一方、熊谷の女郎屋に入った正十は、普通の女性が女郎屋の利兵ヱに催眠術をかけられ女郎をさせられている光景を目撃する!
熊谷宿では代官、名主、女郎屋、ヤクザが組み地上げをしたり、女性を女郎に貶めたりしていたのだ。
おばさんは利兵ヱを騙して得た20両を持って清右ヱ門の元へ乗り込み里親の借金を返済するが、怒りが収まらず清右ヱ門を殺害する。
その前に現れる悪党一味…取り囲まれたおばさんはメッタ斬りにされ、助けに来た正十の背中で息を引き取る。
先生はおばさんの仇を討ち遺体を埋葬したが、おばさんを失ったチームは解体し皆いずこかへ去って行った。
【知ってるゲスト】
浜田晃
【名シーン】
①おばさん、新太と再会
お里「お客様のおかげで…なんとお礼を申し上げてよいやら…」
おばさん「いえいえ、子供は宝ですからね…大事にしてやって下さい」
②おばさんと正十
おばさんは新太の里親夫婦の周辺に不穏な空気を感じ正十に調査を依頼する。
おばさん「おばさん、よしなよ今更関わり合いになるの、あの子ちゃんと里子に行ったんだしさ。
それにね、おばさん。こんなこと言ったら怒るかもしんないけどさ、
おばさんが今やってることをよく考えてごらんよ」
おばさんはこれまで殺しを回想し、目に涙をため落ち込む。
がっかりするおばさんの背中を見て正十もおばさんに同情する。
正十「分かったよ…おばさん、調べてみる」
おばさん「すまないね、正十さん!」
↑悲しそうなおばさんの顔…。
↑画像で見ればただのおばさんの背中だ。
ところが映像で見ると、ものすごく悲しそうな背中なのだ!大女優は背中だけで演技をするのだ。
↑正十は普段はちゃらんぽらんだけど優しい男。火野さんの演技力もすごい。
③おばさん殺しシーン
おばさん「芝居もそこまでいくと鼻につくよ!!」
「紙切れ一枚で大事な店を潰されたんじゃ堪らないよ!!」
↑なんと今回は三回もぶっ刺す。おばさん相当怒ってたんだろうな。
④おばさんの最期
悪党に囲まれ絶対絶命のおばさん。匕首を手に戦うが多勢に無勢でメッタ斬りに。
死を覚悟したおばさんは絶叫する。
おばさん「先生ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
空に放り投げられた匕首は不思議な力で先生の元へ…先生もおばさんの最期を知る。
↑おばさんのような暗殺者タイプはチャンバラには弱い…。
↑市原さん迫真の演技。
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雨の中、正十は瀕死のおばさんを背負い歩く。
おばさん「いよいよ年貢の納め時だよ…」
正十「喋んじゃねえよ、おばさん…」
おばさん「でもよかった、元気な新太に会うことができて…世話になるね、正十さん…」
正十「喋んじゃねえってば、おばさん!」
やがて正十の歩みが止まる…おばさんはもう動かない。そこに先生がやってくる。
正十「先生…おばさんだめだ…」
↑子供に会えたおばさん、安らかな死に顔だ。
↑涙なくしては見られないおばさんの最期。
⑤先生殺しシーン
↑先生の手にはおばさんの形見の匕首が。
↑たった一人の先生の戦い。最後の一撃はおばさんの匕首を使う。
⑥ラストシーン
↑新太の住む町を見渡せる山の上に埋葬されるおばさん。
おばさん愛用の笠が墓標だ。
【感想】
「催眠術はそれほどストーリーに関係なくね?」とか「若の存在って一体…」とか、そういうことはもうどうでもいいのです。
そんなマイナス点も吹き飛ばすほどの衝撃的な最終回でした。
子供を守るために裏で奔走するおばさん、そんな優しいおばさんが敵に斬られるシーンは胸が痛くなるほどです。
「新太に会えてよかった」と遺言し、死に顔も安らかだったおばさんには悔いはなかったと思いたいです。
これが必殺シリーズで最低視聴率の作品なんて全く思えないですね、おばさんの最期はシリーズ屈指の名シーンだと思います。
おばさんの死後バラバラになるメンバー。
ドライに去って行ったメンバーだけど、おばさんの墓を振り返りその姿を思い出します。
若は「国へお帰り」と言ったおばさんを、正十はおばさんを背負い歩いた姿を、先生はおばさんが匕首を託した姿を…。
元々一人だったメンバーがおばさんを中心に集まり、おばさんの死後再び一人になるのは悲しいけどしょうがないですね。
寂しい結末だけど、必殺らしい最終回となりました。
自分は「主水が出てこない必殺は面白くない」という色眼鏡をずっと掛けていたので、この作品の存在すら知らなかったけど、今回ようやく最終回まで視聴できてよかったです。
繰り返すけど、これが必殺シリーズで最低視聴率の作品なんて全く思えない。
自分の中ではシリーズ中でも上位に入る作品だと思います。