【ストーリー】
突如、南町奉行所に現れた世直し三人組。
彼らは派手に大暴れし、商人たちに恨まれていた与力の葛西を仕留めると大ガマに乗って去っていった。
派手な立ち回りに腹を立てた南町同心・中村主水はお歌の元に向かうと口止め料を要求し、綾太郎は五百両出すから仕事の邪魔をするなと念を押す。
その晩、江戸の町を大きな地震が襲い、綾太郎たちの五千両は地割れに飲み込まれ、さらに結城屋から出た火が付近一帯を焼き尽くし、家や衣装を失ってしまう。
しかし、実はその火事は大老や老中が仕組んだ御用火事であり、お七の親友の魚屋おしちは何者かが付け火をする現場を目撃していたのだ。
ところが、老中は魚屋おしちに火付けの濡れ衣を着せ、彼女を捕らえると有無を言わせず火あぶりにしてしまった。
「おしちのために、また世直し三人組になってほしい」-お七の夢をかなえるため、再び剣劇人たちは立ち上がる。
一方、五百両貰い損ねた主水は剣劇人たちの仕事に参加して仕事料をせしめようとするが…。
【知ってるゲスト】
藤田まこと、菅井きん、白木万理、山内としお、西田健、田中弘史、菅貫太郎、大橋壮多
【感想その①】
「必殺剣劇人」というのは実質、前回で終わっていると思うのです。
なぜならこの第八話は必殺シリーズの総決算として「中村主水」がゲスト出演し、会話の中にメタ発言が多く含まれている「スタッフのオナニー回」だと思うので。
必殺の顔とも言える主水をゲスト出演させ、さらに今回に限り剣劇人が秀や勇次の殺し技を披露するというファンサービスもある反面、剣劇人が主水を散々こき下ろすシーンもあり、賛否両論ありそうな回です。
第八話の感想はまた下の方に書きます。
【名シーン】
①松vs田中様&鬼塚
松は南町奉行所の雑魚を錫杖で打ち倒す。
鬼塚「ぬぅぅ!やられたぁ…」
松「何なんだ、こいつらは…」
②主水と綾太郎
主水「おめえら一体何者だ?」
綾太郎「はい、チャンバラをこよなく愛する、剣劇人!」
主水「剣劇人?」
綾太郎「お気に召さないようですがね、仕事も人生も芝居ですよ、芝居。
芝居には遊び心がある、夢がある、ね!」
主水「何を言ってやがんでい、夢や遊びで人が殺せるかい!」
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主水「なんて野郎だ…」
お歌「裏の世界だって様変わりしてきてんですから」
主水「あんなとぼけた野郎がのさばるようじゃ、裏の稼業もおしめえだな」
お歌「時代ですよ、時代」
↑時代の流れでコメディ化した必殺…
それはそれで好きだけど、中の人がそういう発言をするのは寒い。
③お七の告白
お七「あたい謝んなきゃ…あたいね、父ちゃんたち幻の世直し三人組だったこと、知ってたんだ。
知ってて、面白がって隠してた。
綾太郎「知ってた…」
お七「だからお願い、死んじゃったおしちちゃんのために
もう一度だけでいいから幻の世直し三人組になってみせて。
あたいの父ちゃんは三人のうちの誰かなんかじゃない。
三人みんな父ちゃん…だからお願い…」
考える三人。
お七「…やってくれるね?」
綾太郎「いいとも!」
松坊主「まだ出ますか!」
清次「やるか!」
お七「ありがとう」
深々とおじぎをするとお七は去っていく。
綾太郎「ばれてた…」
大笑いする三人。
↑お七の夢(頼み)はおしちの敵討ちにしか思えないんだけど、下の会話によれば違うらしい。
④仕事料とは何か?
お歌「さあ!いつもの通り、もしもの時の三途の川の渡し賃」
四文を皆に配るお歌。
主水「ちょっと待った、三途の川の渡し賃だと?仕事料は一体どうなってるんだ?」
お歌「そんなものありません」
主水「ねえ!?」
↑ドヤ顔で「そんなものありません」というお歌…何かおかしいね。
ここでまず第一話の仕事料のくだりを振り返ってみましょう。
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お歌「本当?嬉しいねぇ…じゃあ、仕事料だ」
清次「仕事料はいらねえ」
お歌「そりゃお断りだ…遊びじゃないんだ、マジで願いたいね」
松坊主「じゃあ四文銭一枚ずつ頂いとこう。ドジってくたばった時の三途の川の渡し賃…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この時のお歌の発言からすると、彼女はこの時は主水と同じ『仕事料が必要派』だったわけだ。
でも剣劇人たちはいらないと言ったため、代わりに三途の川の渡し賃として四文を渡すようになった。
ここで自分は『仕事料=三途の川の渡し賃』と認識したんだけど、どうやら違うようだ。
お歌もすっかり『仕事料が必要ない派』に転じてるし、
なんかこの辺の会話って脚本で無理やりこじつけた感じがするんだよね。
いらないと言うならビタ一文も貰うべきじゃないんだよ、紛らわしい。
⑤仕事の目的とは?
綾太郎「この子の夢をかなえてやるために、仕事をしてきたんです」
松坊主「晴らせぬ恨みを晴らしてやるか…
耳から指突っ込んで奥歯ガタガタ言わしたるでぇ、立派な大義名分ですなぁ!」
↑「剣劇人の仕事=お七の夢をかなえる=敵討ちをする」つまり「剣劇人の仕事=敵討ちをする」だと思っていたんだけど、違うんだと。
さっきと同じで、ここも脚本のこじつけっぽく思える。
要するに旧体制派・主水と新体制派・剣劇人を口論させるため、
剣劇人の設定を無理やり主水と対極の存在に仕向けるようにしたかったんだろうな。
⑥すっかり落ちてしまった必殺スタッフからのトドメの一言
お七「いい!?今も昔も関係ないんだよそんなの!面白いのが一番なんだ!」
↑こういう台詞って本当に楽しんでいる時は出ないだろうし、
打ち切りも決まってすっかり落ち目になったことを承知の上で言ってるんでしょ?
今風に言えば「嫌なら見るな」にも通じる開き直りというか、負け惜しみというか…寒い寒い。
⑦ファンサービス?剣劇人殺しシーン
↑様式美、光と闇の使い方、BGM、この辺は文句なし。
でも剣劇人の設定を崩して有名キャラの真似をしているだけなので、まるでドリフの必殺コントのように見えなくもない。
⑧剣劇人のラスト
お百の墓参りに行くため、剣劇人とお七は八丈島へ旅立つ。
↑スタッフのオナニーを見せられて、もはや剣劇人のラストなんてどうでもよくなっちゃった。
⑨中村家から最後の挨拶
↑だからさ「必殺が始まって今年で15年…」とかメタ発言するなら、
藤田まこと、菅井きん、白木万理として締めの挨拶をすればいいだろ。
しかもこれは「必殺剣劇人」ですよ…中村家がラストなのはおかしいだろ。
【感想その②】
剣劇人最終回、散々ぶっ叩いてすっきり。
七話までは一応見れたけど、最終回の印象が悪すぎて全てが台無しになったような気がします。
まぁこういうのもたまにはありじゃないですかね。
「美人を引き立てるブス」のように、こういう作品があるからこそ、他の名作と呼べる必殺シリーズが輝くのです。
【ストーリー】
ある日、お七は秀二郎という博打打ちに「綾太郎たち三人は本当の父親ではない」と教わる。
折しも綾太郎たちを訪ねてきたお百の妹・お千は間違いなく三人のうちの一人が父親だと言うが、お百を詮議した火盗改の記録では父親は秀二郎となっている…。
お七は真相を確かめるために秀二郎を訪ねるが、秀二郎はヤクザ一家に命を狙われており、五百両を返さなければ殺されるという。
秀二郎が父親だと信じたお七は、綾太郎たちに五百両を工面してもらうと、それを秀二郎に渡す。
だが、その金を持って秀二郎は火盗改の元へ…秀二郎は火盗改方・加倉井に盗賊の父と無実の娘を召し取られており、二人を開放して欲しくば三人から金を受け取るように命令されていたのだ。
加倉井は三人を江戸城の御金蔵破りだと疑っており、彼らの持つ小判が盗まれたものかどうか調べたかったのだ。
小判からついに足がついた三人…一方、秀二郎の父と娘はすでに死んでおり、不要になった秀二郎も殺されてしまう。
【知ってるゲスト】
松田明
【名シーン】
①大殺陣ダイジェスト
↑これだけの人数の前で正体をバラされてますが、大丈夫なのか?
↑大ガマに乗って下降してくる三人組。
江戸時代にもこういう技術があったとは驚く。
↑お千「五百両、駄賃に貰っていくよ!」
三人組が暴れている中、密かに五百両を持ち逃げするちゃっかりしたお千。
知らない女優さんだったけど、この人は山城新伍の元奥さん(葬式に行かなかった人)。
↑ポーズを決めていた三人組もお千のコソ泥にずっこける。
【ストーリー】
お七は役者の直次郎に夢中になり、楽屋にまで入り浸るようになってしまった。
直次郎に釘を刺すため芝居小屋を訪ねた綾太郎は、直次郎が先日目撃した凶悪な押し込み強盗の一人であることに気付く。
三人の父親の心配をよそに、再び芝居小屋を訪ねたお七は、直次郎たち強盗一味の次なる押し込みの計画を聞いてしまい監禁されてしまう。
直次郎の女房であるお景は、お七を助けようとするが…。
【知ってるゲスト】
森永奈緒美
【名シーン】
①くそバカ娘・お七のDQN発言集
お七「自分ばっか父親の顔しやがってよ、バーカ!」
綾太郎「バカ!?それが父親に向かっていう言葉か!謝れ!」
お七「嫌いだよ!綾太郎父ちゃんなんか大嫌い!」
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お七とお歌が偶然にも道でぶつかる。無視して歩いていくお七。
お歌「ちょっと!何とかお言いよ!」
お七「なんだ、やるのかよ!」
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お七「綾太郎父ちゃん、いいか、少しでも直次郎さんに手出してみな、
あたいが承知しないからね!覚えときな!」
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お七「あたいはね、誰がなんつったって直さんと付き合うからね!」
※直次郎にお景という女房がいるのを知った上での発言。
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お景「悪いこと言わないからお帰り」
お七「いい?あたいは真剣なんだよ。あんたも体張って直次郎さんを守ったら?」
お景「あんたに言われなくたって、いつだってあたしは真剣さ」
お七「じゃあ勝負させてもらうからね」
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直次郎の正体を知ったお七は監禁される。
お景はお七を助けるが、それを直次郎に見られ殺されてしまう。
お七は三人に助けられ、お歌の店へ。
綾太郎「お七、目が覚めたか?」
お七「…バカ野郎…バカ野郎…バカ野郎!バカ野郎!バカ野郎!直次郎のバカ野郎!」
バカ野郎を連発しながら物(しかもお歌の店の物)に当たるお七。
助けてくれた三人に感謝や謝罪の言葉はなく、ピーピー泣き出す。
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↑さすがにこいつの発言や行動がだんだん鼻についてきた…。
剣劇人の三人は好きだけど、こいつは好きになれない。
【ストーリー】
ある日、清次は激しい腹痛に襲われ施薬院に入院することとなった。
院長の花岡道玄は男女の産み分け法まで編み出した評判のいい名医であったが、入院した清次は弱気になって意気消沈。
そんな清次を見舞ったお七は、院内で殺人現場に出くわす。
そして、現場から逃げ出した下手人-それはお民というお七の島での幼馴染だったのだ。
お民の親戚が住む烏山を訪ねた松坊主は、その地で名主の庄左エ門が貧しさから逃れるため仕方なく娘たちを花岡施薬院に奉公に出したり、赤ん坊を里子に出している話を聞く。
しかし、ちょうど村に逃げ戻ってきたお民の話によると、道玄により岡場所に売られそうになったため、先の事件を起こしたという。
男女産み分け法も里子の赤ん坊を利用したすり替えであり、それを訴え出ようとした新米医師の良沢は道玄とグルの玉川屋に殺され、烏山の地でお民も殺された。
お民を殺したのは、こちらも実は道玄とグルだった名主の庄左エ門だったのだ。
【知ってるゲスト】
伴勇太郎
【名シーン】
特になし
【ストーリー】
江戸では、松倉藩の用人・佐久間を後ろ盾にした大黒屋の仙蔵一味の地上げにより、地価が高騰していた。
一方、お七は知り合いになった蕎麦屋の息子・正太の店で働くことになった。
正太は父・佐吉とは血が繋がっていない義理の息子で、職人気質で気難しい佐吉に日々怒鳴られながら修行をしていた。
その佐吉の店も仙蔵に狙われていたが、頑固者の佐吉はどんなに嫌がらせをしても立ち退きに応じない。
仙蔵たちは佐吉と不仲の正太を抱き込むと、正太を使い無理やり店に火をつけさせる。
結局、佐吉も正太も仙蔵たちに殺され、また店の中にいたお七も煙に巻かれ倒れてしまう。
【名シーン】
①松とワカメ
松坊主「ふふ、わぁ~かぁ~めぇ~」
↑真面目な助さんのイメージが強いけど、本作ではコメディシーンも多いあおい輝彦さん。
②佐吉の思い
佐吉「情けねぇぜ、全く…あいつの気持ちがまるっきり分からねえや…。
こっちは義理だなんて思っちゃいねえんだ。
実の親子とも思ってるからこそ、叱りもするし、怒りもするんだよ」
↑今回は子育てで苦労する親父さんたちの話。
③綾太郎殺しシーン
↑ただの雑魚ではない侍四人を相手に戦う。
やっぱり必殺のBGMはテンションが上がるなぁ。
④松坊主大ピンチ!?
↑放水攻撃を食らう松。
江戸時代の火消し道具「竜吐水」というものらしいですが、こんなに激しく放水できたんだ^^;
↑放水攻撃を空蝉の術で回避。赤フン一丁でいつものセリフ。
【ストーリー】
ある日お七は仙太郎という若者にナンパされる。
仙太郎は金座から小判を盗み出して貧しい者たちに配ろうと考え、その相棒として身軽なお七に目を付けたのだ。
頼りない仙太郎を見かねたお七は「盗んだ気分だけ味わって、盗んだ小判はすぐ返す」ことを条件に手を貸す。
一方、その頃金座では吹上棟梁の弥吉が欠陥小判を発見し、そこから御金改役・庄田らの金の横領に気付く。
折しも金座に潜り込んでいた仙太郎は、弥吉から欠陥小判と書状を託され、弥吉が庄田に殺される現場も目撃する。
姿を見られた仙太郎はお尋ね者となり、もし仙太郎が捕まればお七の身も危ない…綾太郎たちは仕方なく仙太郎の警護を開始する。
仙太郎はお七との約束通り、小判を返そうと再び金座に侵入するが…。
【知ってるゲスト】
牧冬吉
【名シーン】
①剣劇人の性教育
三人組は男女の営みについてお七に教えようとするが、お七はすでに知っていた。
お七「あ~!どうしたら赤ちゃんができるかっつう話かい!?
嫌だねぇ、父ちゃんたち大人のくせに知らないのかい!?」
松坊主「ちょっと、ちょっと…つまりだな、も、桃太郎は桃から生まれて…」
お七「嫌だねぇ、松父ちゃん。
桃から赤ちゃんが生まれるわけないだろ?そんなのはね、昔話なんだよ。
いいか、よく聞くんだぞ。
おじいちゃんとおばあちゃんが、つまり女と男がすることをして桃太郎ができたってわけなんだ。
それからもう一つ付け加えると、桃っていうのは女のアソコを象徴しているわけなの!
いい?分かったね?ガキなんだなぁ、本当に大人なのに。
子供がどうしたらできっかくらいはちゃんと分かってるから心配しないで!」
清次「ちょっと待て、ちょっと待て!…
つまりだな、ダメな男に引っかかるとダメな女になるってことなんだ」
お七「だからどうしたらダメな男が見分けられんだ!?」
なかなか核心を突いた質問に、何も答えられない父親三人組。
見かねたお歌が話に入ってくる。
お歌「あのね、男を知ること、数をこなすことよ!」
お七「あ、そうかぁ!さすがぁ!じゃあ、行ってくんね!」
お歌「うん、いってらっしゃい、頑張ってね!」
三人はとんでもないことをアドバイスしたお歌に文句を言う。
↑この辺が本当に親子のホームドラマのノリ。
②泥棒とは?
お七「泥棒っつーのはやっぱり義賊でも泥棒だよな?
悪人は悪人なんだよな、悪いことは悪いんだな?」
清次「うん、まぁ泥棒はいけないがな、義賊というのはな、世のため人のために…」
お七「じゃあいい人?」
綾太郎「いや、しかし、やっぱり泥棒は泥棒だぞ!」
松坊主「そう、そう!いけないものはいけ…いけ…いけいけ…」
お七「ねぇあのさ、じゃあ盗った物をとにかく元に戻しゃあ、悪くないんだな?」
綾太郎「そうそうそうそう、まぁ人知れず元へ戻せば、そこはまぁね…」
松坊主「いや、それでもやっぱりいけないことは…いけ…いけ…いけいけ…」
お七「何がいけいけいけいけだよ、本当に!
全くねぇ、これだから中年の男っつーのは嫌なんだよ!」
お七は三人の前で服を脱ぐと、風呂へ行く。
綾太郎「盗人がいいか悪いかなんて聞かれて、ちゃんと答えられねぇってのは親としちゃ恥ずかしいよなぁ…」
↑しどろもどろになり松はお七に突き飛ばされる。
前回もキュウリで頭を殴られたり、他の二人に比べると扱いが悪い(笑)
③清次殺しシーン
↑「必殺!」のBGMにのって標的を倒す清次。
こうやって見るとわりと普通の必殺に見えてくる(恰好はアレだけど)。
【ストーリー】
江戸では米が値上がりしていたが、これには裏があった。
仙台藩御船手組・関は、仙台からの米廻船が航海中に海が荒れる度に「御用船を守るため」と称して米俵を海に捨てていたので、品薄から値上がりが起こっていたのだ。
しかも、その米俵の中身は砂で、最初から米俵を捨てるつもりで用意されているものであった。
この陰謀は米問屋・宝屋も関のグルであったが、陰謀に気付いた宝屋の手代・吉松は関に斬られ海に放り出されてしまう。
しかし、なんとか生きていた吉松は江戸へ行き、宝屋の蔵に放火したり、宝屋の妾・お里を誘拐したりするが、それらは宝屋を訴え出るための計画だったのだ。
命を捨てる覚悟の吉松はかつての恋人であるお里に訴状を託す。
一方、誘拐騒動の際、吉松と知り合ったお七は、同情から彼の力になってやろうとするが…。
【知ってるゲスト】
田中弘史
【名シーン】
①お七とお歌
すたすた踊りを踊る松を見つめるお七。
お七「父親って何なんだ?」
お歌「世の中さ…」
お七「じゃあ、世の中ってなんだ?」
お歌「お金さ…真面目にお金稼ぐいじらしさ…それが父親さ、世の中さ」
お七「ふ~ん…」
お歌「大変なことなんだよ、お金稼ぐって…」
↑松の服のがいこつの絵って水木しげる先生の描くがいこつに似てる。
【ストーリー】
カルタの綾太郎、早縄の清次、すたすたの松坊主…三人はかつて江戸城の御金蔵から一万両を盗み出し、その半分を貧しい者にばらまいた義賊であった。
三人は裏稼業から足を洗ったが、一向に良くならない世の中に不満を持って暮らしていた。
そんなある日、八丈島に流されたかつての盗賊仲間・お百から便りが届いた。
便りによると、お百は病を得て余命幾ばくもないため、娘のお七の面倒を見て欲しいと言う。
そうして江戸にやってきたお七であったが、彼女は粗野で世間知らず、一本気な性格のため、三人は手を焼く。
しかも彼女は知り合いになった娘・お甲が江戸で悪評の高いヤクザ・鬼虎組に殺されたことから恨みを抱き、たった一人敵討ちに出かけてしまう。
お七を放っておけない三人は、彼女のために「世直し三人組」として裏家業へ復帰し、鬼虎組に挑む。
【知ってるゲスト】
北村英三、大橋壮多
【名シーン】
①大金持ちの三人組
小判の山に足を置く綾太郎。
綾太郎「あ~冷やっこい…これ以上儲けろったって無理だよな」
松坊主「あの時盗んだのが一万両、半分ばらまいて残ったのが五千両」
清次「一生も二生も食っていける…な~んもしなくても食っていける。
クソ面白くねえなぁ…仕事も世の中も面白くねえ」
↑うなるほど金を持っている三人。
だけど決して満たされた生活はしていないようだ(贅沢な悩みだなぁ)。
②お七と三人組
八丈島からお七がやってきた。
綾太郎「お七ちゃんか!?」
松坊主「ほぉ、いい娘なんだなぁ、もう」
清次「いや~似てるね、似てる!」
お七「いやだなぁ、何きどってんだ、三人とも。あたいのおとっつあんなんだろ、三人の誰かが。
三人ともいい男で嬉しいよぉ!まとめて面倒見てやっから安心しな!」
↑三人ともお百と関係を持っていたって、すごい設定。
今でも三人同居してるくらいだし、みんな仲良しだったんだろう。
③松父ちゃんの説教
型破りな性格で、三人との生活にもなじめないお七。
お七「裏表のある人大嫌い!」
松坊主「裏表ってつう言い方は違うな…」
お七「そうだよ!あたいはあんた達とは何もかも違うんだよ、だから出て行く!」
松坊主「裏表じゃなくて気配り、遠慮、思いやりだよ…
それがなきゃ、他人とやってけない…それがなきゃ友達ができない。
お七ちゃん、島で友達はあったのかな?」
お七「…ない…島流しの罪人の子だもん…」
松坊主「これからはおじさん達が友達だ。な?どれか一人が父親、あとは友達だ」
④綾太郎父ちゃんの説教
お甲が殺された現場を目撃したお七は気絶する。
目を覚ますとそこは小舟の上で、綾太郎が船を漕いでいた。
悪事を許せないお七は、事を荒立てたくない綾太郎と口論になる。
お七「あんた父親だろ!親が子供に悪事を見逃せって言うのか!」
綾太郎「父親だからこそ!子供を死なせたくない!
父親としてだけ言ってるんじゃねえぞ、お百にだって、他の誰にだってそう言うさ。
お七、おめえは俺たち三人の夢なんだよ…な?」
お七「おっかさん言ってた…おっかさんははぐれ者の一匹狼だったけど、おじさん達は真っ当な堅気さんだ。
だから頼っていけって…本当にそうだね、おじさんたちは堅気さんだ。
だけどあたいの中でおっかさんの血が騒ぐんだ。
この悪事を探って暴いて、あの子の仇を取ってやりたいんだ!…ごめんね」
一人で敵討ちに行くべく、お七は水に飛び込む。
綾太郎「お七!お七!」
↑だいたい騒いでるだけなんだけど、ちゃんとこういう演技もできる。
⑤「世直し三人組」の再結成
松坊主「夢になってやれば?あの子の夢に」
綾太郎「夢に?」
清次「どういうこったい?」
松坊主「あの子の夢をかなえてやるのさ、俺たちが」
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お歌の店に行く三人。
綾太郎「仕事を受けよう…鬼虎一家を潰す」
お歌「本当?嬉しいねぇ…じゃあ、仕事料だ」
清次「仕事料はいらねえ」
お歌「そりゃお断りだ…遊びじゃないんだ、マジで願いたいね」
松坊主「じゃあ四文銭一枚ずつ頂いとこう。ドジってくたばった時の三途の川の渡し賃…」
お歌は微笑むと、四文銭を投げる。
↑あれ?三途の川の渡し賃は六文じゃないの?四文でもいいのか?
⑥剣劇人・大殺陣!
↑改めて見るとすげえ格好だな、特に右の人の桜吹雪の入れ墨!
これTシャツかと思ったけど、着るシーンを見るとさすがにTシャツではなくて一安心(笑)
↑例えば商売人主水は大人数相手に戦うこともあるけど、せいぜい数人。
でも剣劇人ではワラワラと敵が現れる、まさにチャンバラ時代劇。
⑦三人の決め台詞
綾太郎「寄らば斬るぞ!」
↑剣劇人たちは雑魚は殺さないけど、決め台詞が出た後に現れる親玉は殺す。
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清次「おととい来やがれぃ!」
↑田中健さん、このセリフ言ってる時、明らかに恥ずかしそうだよね(笑)
↑ほとんど素顔そのままだけど、正体がばれないのが剣劇人の世界なのだ。
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松坊主「ムフフ…あ、ばぁ~かぁ~め~!」
↑逃げる時に使う大ガマは松坊主が準備する。
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お七「夢みたい…カモノハシみたい!」
↑全然意味が分からないんだけど、これも毎回飛び出すセリフ。
【感想】
この作品の本当の主役は剣劇人の三人じゃなく、お七だね。
世間知らずで型破りなお七が、被害者と加害者の間に起きる騒動に巻き込まれながら世間を知っていく。
その中で、剣劇人の三人がお七に振り回されつつも、最後はチャンバラでビシッと決めて、父親としての仕事も果たす。
そういうホームドラマのような一面を持った作品なのだ。
なるほど、確かに必殺シリーズとしてはかなり異質な作品だけど、まぁ普通に面白かったです。
とは言え、前期作品に比べれば明らかに劣るし、印象に残るシーンはあまりなさそうだけど^^;
【OPナレーション】
あの町 この町 陽が暮れて
世の中 闇に沈む時
昼間 隠れたお化けども
大きな顔で歩き出す
金 金 金の亡者たち
土地を喰ってる赤鬼や
権力欲しい青い鬼
どこかのお国に似ています
あまりと言えばあんまりな
百鬼夜行の鬼どもを
バッタ バッタと斬り倒す
ゲゲゲの鬼太郎 桃太郎
今度の必殺剣劇人
大人のお伽噺です
(語り:加賀まりこ)
【キャスト】
カルタの綾太郎:近藤正臣
すたすたの松坊主:あおい輝彦
早縄の清次:田中健
お七:工藤夕貴
お歌:二宮さよ子
【EDテーマ:ついて行きたい】
寒さしのぎに 背中丸めて
海鳴りばかり聞いてる
燃える想いさえ 届きはしない
波がふたりをさえぎる
女ひとりの 心細さを
も一度優しく 抱きしめて
ついて行きたい ついて行けない
愛はいつでも 気まぐれ
ついて行きたい ついて行けない
あなた 恋しい
(歌:テン・リー)
【必殺剣劇人について】
連続して続いた必殺シリーズ最後の作品です。
この作品も見たことなくて、一年以上前にDVD買ったんだけどずっと放置してました。
だってウィキで内容読むと、どう見ても必殺シリーズに思えないんだもの…。
派手な衣装でチャンバラしたり、もはやヤケクソとしか思えないタイトルとか、「うらごろし」も真っ青の異色作じゃないですか。
でも必殺シリーズを制覇するには、ちゃんと見ないといけませんね。
痛快時代劇としては面白いという感想もけっこうあるので、頑張って見てみましょう。