【ストーリー】※上段は印玄の過去
多助が五才の時、母親・おりんは男と駆け落ちし、残された体の弱い父親は川に身を投げて親子心中を図るが多助だけは命が助かった。
多助は印玄と名乗り願人坊主(乞食坊主)をしながらおりんを探し求め、十四年後、ついにその居場所を突き止める。
しかし、好色なおりんはなんと実の息子である印玄まで抱こうとする有様…。
憤慨した印玄はおりんとその男を屋根から突き落とし殺してしまうが、現場を男の娘・およねに見られてしまう。
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女郎屋・梅屋(うめのや)伝兵衛は体を壊した女郎に暴力をふるい、年季明けの女郎を騙して他の女郎屋に売り飛ばすなど酷い仕打ちを行っていた。
その梅屋の女郎・およねは九年前に父親を殺した旅の願人坊主-印玄をついに見つけ、おこうに仕置を依頼する。
標的が自分だと知った印玄は主水たちに自らの過去を話し「仕置するならしてくれ」と罪を認める。
事情を知った主水たちが印玄を仕置できるわけもなく、およねも印玄から謝罪を受け自らの手で殺すことはできなかった。
その頃、伝兵衛は病気の女郎・おふくを売り飛ばそうと画策し、それを止めに入ったおよねは伝兵衛の手下・清吉に刺されてしまう。
およねは手当てすらしてもらえず虫の息の中でおこうに手紙をしたため、『印玄への仕置を取り消して伝兵衛と清吉を仕置してほしい』と書き残して息絶える。
【知ってるゲスト】
遠藤太津朗、松山照夫、小柳圭子、日高久
【名シーン】
①印玄誕生
↑『願人坊主』という言葉は初めて知りました。
劇中では『乞食坊主』という感じでしたが、本来は『僧形の芸人』だそうで、
それに近い『すたすた坊主』という人たちもいたみたい。
なるほど、だからすたすたの松坊主(剣劇人)は坊主というよりは芸人っぽいのか。
②好色なおりん
おりん「ねぇ…お前、もう女を知ったのかい?
なんならさ、あたいが教えてあげてもいいんだよ…」
印玄「おっかさん…おっかさん!」
印玄は抱き着いてきたおりんを突き飛ばす。
↑ようやく見つけた母親は予想以上のクズだった。
心に闇を抱えてしまった印玄が躁鬱になるのも無理はない。
③印玄とおよね
印玄はおよねの元に赴き、謝罪する。
印玄「十五年間、俺が探し求めたお袋はお袋じゃあなかった。
実の我が子でさえ抱こうとする畜生にも劣る女だった。
その憎しみのあまり、おめえの親父を巻き添えにして殺した。
俺は許しを請おうなんて気は毛頭ない。
俺を恨みたけれりゃ恨め、殺したければ殺せ。
生きるも地獄、死ぬも地獄…どっちに転んでも変わりはねぇ」
話を聞いたおよねは剃刀で印玄を切りつけるが、結局とどめを刺すことはできなかった。
↑「生きるも地獄、死ぬも地獄…」
一話の印玄のセリフにはこんな謂れがあったとは。
片や、およねも悔しいながらも印玄に理解を示す。
女郎仲間を気遣ったりもするとても優しい女性だ。
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↑およねを懇ろに葬る印玄。
今回は印玄の過去と闇に触れる重要エピソードでした。