ある時思い立って、そばをきれいに(粋に)食べる心掛けを始めました。
割り箸をきれいに割ろうと思ったのと同時期です。
理想は、高座での噺家の食べるしぐさ。
あれを見て観客が無性に食べたくなれば、真打だと評する方もいますよね。
出張など、一人での外食はほとんどがそばで、一日昼夜二食の時もあります。
たいていの場合、お店は券売機があるような、カウンターのみの狭い立ち食いそば屋です。
ざるそば、あるいはもりそばが出てきたら割り箸をパチンときれいに割り、まずつゆをつけずにそばだけ何本か食べる。
それからおもむろにつゆへ三分づけして黙々と食べるのですが、一すくいの分量は8本程度がいいですね。
それを音を立てながら2、3回ですすり上げる。
わさびはつゆには入れず、箸の先につけて食べる。
皿の中のそばは一本も残さずに食べる。
切れはしは、箸を立てるとつかみやすいでしょう。
立ち食いそば屋でも、そば湯を置いている店は増えています。
こちらはゆっくり味わいましょう。
精進?の甲斐あって、現在は自分が満足の行くレベルまで上達しています。
先日のことです、隣りで食べていたオジサンが、ごちそうさま、と空いた皿をカウンターの一段上へ下膳すると、手元にあった台拭きで当たり前のようにカウンターを一拭きしてからすっと店を出て行きました。
立つ鳥跡を濁さず。粋ですね。