1956年のオスカー授賞式のドロシー・マローンとアンソニー・クインの写真を見ていて、そういえばこの二人が共演した映画があったな、と思い出した。
西部劇「ワーロック」(1959年)だ。
この作品は人間関係がやけに込み入っていて、尺の割にガンファイトが少ない。
それを自分なりのふざけた言い方をすると、「労多くして功少ない(長時間付き合った割に得るものが少ない)」西部劇、なのだ。
そうは言ったが、見どころもあり、たとえば稀代の早射ち(ヘンリー・フォンダ)の相棒で悪評高いギャンブラー(アンソニー・クイン)のキャラクター設定は、西部劇に不要なくらい複雑で興味深い。
また、ラストのガンファイトは西部劇史上に残るものとなっている。
ドロシー・マローンはクインの元彼女だが、夫をクインの計略によってフォンダに殺され、復讐に燃えている。義弟を連れてフォンダのいる町ワーロックに来る途中、自分の悪事が露見するのを恐れたクインに駅馬車を襲撃され、義弟も殺されてしまう。
一人ぼっちになった彼女は、まもなく保安官助手(リチャード・ウイドマーク!)と愛し合うようになるのだが、ウイドマークは早射ちフォンダとの勝ち目のない決闘に臨むことになってしまうー。
だいぶ端折ってあらすじの一部を書いた。要するにマローンは恋多き女性という設定だ。クインも復縁を迫ってくる。
足の悪いクインはガンファイト時、常にフォンダの後ろをカバーする役割を受け持っている。チームファイトで常勝なのだ。(1時間15分10秒から)
60年代に入るとマローンはテレビシリーズ「ペイトン・プレイス物語」で大人気を博す。ミア・ファローの美しい母親役だった。
ワイアット・アープとドク・ホリデイの関係がモチーフになっているといわれていて、フォンダの代表作「荒野の決闘」との違いを論評されていた記事を思い出します。
ドロシー・マローンは若い頃の「三つ数えろ」や「死の谷」などの印象が強いですが、好きな女優の一人でした。
アンソニー・クインは、まぁこの人ほどいろんな役柄で楽しませてもらった俳優さんも少ないですね。
いつもコメントありがとうございます。
その論評は私も読んだことがありますが、個人的には、クインは邪悪な弁慶で、その妄執の大暴走が映画のバランスを崩し、誰が主役なのかわからなくしているのだと感じています。「ゴーストタウンの決闘」での、ロバート・テイラーへのウイドマークのまとわりつきも印象的でした。
ドミトリクの作品は「十字砲火」以外、みな大味ですね。
ドロシー・マローンについてはお話にある「三つ数えろ」の眼鏡のシーンや、よくテレビで放映されていた「最後の航海」を組み込めなかったので、もう一本くらい書きたいな、と考えています。