同期入社の男の子との何度目かの食事の最中に、マナーモードに設定していた彼の携帯電話がポケットの中でブルブルと震え出した。
ゴメン、これだけは出るよ。
待っていた電話なんだ。
まわりの目を気にしながら、口に手を当て、押し殺した声で二言三言応答したあと、電話を切った彼は目を輝かせながら、ううーっと低くうなった。
どうしたの?
大きな商談がまとまったんだ、ああ、よかった。
よほど嬉しかったのか、あるいは安心したのか、彼はたまたまテーブルの上にあった私の手にそっと自分の手を重ねた。
よりによってこんな時に居合わせてくれるなんて、きみは福の神だな。
ふふん、と私は笑い、思った、あなた今ごろ気がついたの?