ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

割り勘

2017年08月30日 | 末広がり

  職員から食事代の割り勘についてどう思うか、と尋ねられた。
ずいぶんと藪から棒な話だけれど、それはデート費用ってことなの?
彼女が言うには、最近割り勘が二回続いていて、どうも腑に落ちないのだそう。
僕は女性と割り勘だなんて男がすたる、と考えている最後の古い世代に属しているから、一も二もなく全額負担だったけれど、そうするのは見栄や男尊女卑などとは関係がなくて、ちゃんと理由もあるよ。
でもそれを話す前に言っておかなければならないのは、男は図々しい生き物だから、一度割り勘が通るとずっとそうして来るし、結婚後もきっとそう。
それは生まれや育ち、価値観に起因しているので、言っても直らないどころか、なぜ言われるのかもわからないだろう。
それがおかしいと思うのだったら、嫌だったら、早めに違う相手にするのが賢明だね。

  今はもう変わっているのだろうけど、昔はデートっていうと男性も女性もおしゃれをして待ち合わせ場所に現れた。
上品なワンピースだったり、ヘレン・カミンスキーの帽子に白いサブリナパンツだったり、あるいはお祭りの時は浴衣だったり。
食事代を割り勘にする男性は、その場で食べたモノしか考えていないからそうするのさ。
相手はここへ来るまでに、美容院へ行ってきたかもしれないし、新しい口紅を買ったかもしれない、とっておきのネックレスを身に着けて来てくれているのかもしれない、あるいは下駄が歩きにくくてタクシーで来たのかもしれない。
女性はそういうコストと手間がかかるのだってことに、思い及ばないからだ。
お金はね、そうやって来てくれたこの素敵なひとと小一時間、一緒に楽しく美味しいものを食べることができるなんて、という感謝の気持ちから支払うものなのだ。

  それに、女性が働いているからといって、お金を持っている(可処分所得がある)と考えるのも間違いだ。
サラリーマン時代の女友達はみなアパート暮らしで、いつもお金に苦労していた。
そういう女性たちは、二人で一万円の食事を割り勘にされるよりは、二人で五千円の食事をおごってもらう方がずっと喜んだし、実際、彼女たちの生活にも優しい気遣いだった。
たぶんこれは今も昔も変わらないと思う。

  じゃあ、男性にお金がない給料日前などはどうすればいいか。
―今はゲームソフトって売るといいお金になるんでしょ?
僕の頃はレコードだった。
それもない時は、、きみが缶ジュースを二本買い、公園のベンチでイアホンを片方ずつ分け合って、お互いの好きな曲を聴くだけで十分楽しいじゃない。
ない時はない時なりに、だよ。

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