ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

クレープ

2018年05月14日 | 珠玉

 日曜が定休日のやまねこデイサービスに勤務する私は、いきつけの喫茶店アルファヴィルへ朝から手伝いに来ていた。

モーニングセットがお目当てのお客様がたが一段落したころ、NPO法人なごやかの理事長が電源コードのリールを片手にドアから入ってきた。

「オーナー、先日のお赤飯のお礼に、今日はクレープを御馳走しましょう。その前に電源をお借りできませんか?」

オーナーとアルバイトのIさん、そして私の3人は外に出てみて驚いた。

クレープの移動販売車がお店の前に停車しているではないか。

「何でも好きなものを注文してください。―きみたちもだよ。」

私たちもお相伴にあずかれるらしい。

理事長のもてなしはいつもこんな風にけれん味があって大向こうをうならせる。

 ところがこれだけでは済まなかった。

オーナーの携帯電話が鳴った。

お母様からだった。

差出人が理事長の、母の日仕様の和菓子の大箱がFデパートから届いているというのだ。

私は照れくさそうに顔を赤らめている理事長の横顔を見ながら思った、このひとは相手を驚かせ、喜ばせるのが本当に好きなのだな、と。そして、このひとはどれだけオーナーのことが好きなのだろう?と。

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