ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

「サウンド・オブ・ミュージック」②

2020年02月24日 | ハリウッド

 

 確か中学三年の時だ、同級生に映画「サウンド・オブ・ミュージック」の輸入盤サウンドトラックLPを買い取ってくれないかと頼まれた。

ついでにビートルズの「ヘイ・ジュード」(アメリカ編集盤)や青盤(後期ベストアルバム)も。

僕はそんなにお金を持っている方ではなかったし、レコードは明らかに彼の姉たちのものだったけれど、交友関係で出費が多い様子の彼を見かねて、まとめて引き受けた。

 「サウンド」は大学生になって間もなく、中古レコード屋に売った。二束三文だった。輸入盤は安いのだ。

その同級生は僕同様に進学で上京し、証券マンになったと聞いていたのだが、一度だけ、明大前駅での乗り換え時に見かけたことがある。

バブルの入り口の頃で、デビュー時の吉川晃司顔負けの、派手なダブルのスーツを着ていた。僕もそこそこの会社に勤めていたが、なんだか気後れして声を掛けなかった。

その後、家庭の事情で僕は都落ちし、何年かしてその彼も、東京で結婚した同級生の元バレリーナとともにUターンしていた。

それが2011年3月、彼らはお子さんたちとともに大津波にのまれ、亡くなった。

 あの長尺の映画を再見することはもうないが、「エーデルワイス」や「私のお気に入り」の映像を観ると、胸の奥からなにかが飛び出しそうになる。

 

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