古参の職員たちとホームの思い出話に花が咲くことがある。
ただ、楽しいことばかり話しているわけではなく、天を仰いだ重大事故についても振り返り、決して忘れないよう心掛けている。
夜間に離園した利用者様を探して崖下を懐中電灯で照らしたところ、ちょうど頭頂部に光があたって反射したおかげで見つけることができた、さらには駆けつけたCMが坂の途中でしりもちをつき、そのまま「サンダーバード」のスライダーでの搭乗シーンさながらにまっすぐ滑り降りて来て、笑いをこらえるのに一苦労した、などとユーモアを交えてはいるものの、当時の必死さは話すたびまざまざとよみがえってくる。その利用者様を背負ってホームへ戻った際の、安堵した管理者の愛らしい泣き笑い顔も、一生忘れることはないだろう。