ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

市民ケーン

2016年04月15日 | ハリウッド

 映画史上最大の傑作と称される「市民ケーン」(1941年)はどのシーンもセリフも忘れ難いが、仕事上でちょくちょく思い出すセリフがある。


 ニューヨークで新聞発行部数トップに立った「インクワイアラー」紙の記念パーティ。
社主のケーン(オーソン・ウエルズ)はかつて自分たちのはるか前を走っていた「クロニクル」紙の記者たちをまるごと引き抜くという荒業に出た。
その出来事と、それまでの6年間の時の流れをほんの1分足らずで観せてしまうトリッキーな映像のアイディアは、何度観ても驚きだし飽きることがない。
そのあとの、パーティの喧騒の中での、ケーンの右腕二人の会話―。

バーンステイン「どうかしたんですか?」
リーランド  「なあ、バーンステイン、この連中は、今は『インクワイアラー』にいるが、昨日までは『クロニクル』に勤めていたんだよな。バーンステイン、彼らは『クロニクル』で働いてきた。『クロニクル』のポリシーに従ってきたんだよな。これからわが社のポリシーに従えるかな?」
バーンステイン「大丈夫、彼らも同じ人間です。ちゃんと働きますよ。ただ優秀ってだけのことです。」
リーランド  「我々が『クロニクル』と同じ方向に進むのか、バーンステイン?」
バーンステイン「もちろん、違いますって。ケーン社主が、一週間で連中を彼好みの新聞屋に変えてしまうでしょうよ。」
リーランド  「その逆もありうるぜ、気づかないうちに。」













なごみも気をつけないと。

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