ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

「マネキン」

2024年07月01日 | ハリウッド

 就職して3年、サラリーがそこそこ良かったことで僕の生活水準はちょっとだけ上向いていた。

日本企業が海外の有名な不動産を買収したり、アメリカの高名な工業デザイナーへロゴデザインを依頼してコーポレートアイデンティティに躍起になるなど、世の中すべてが浮かれていた。

そんなころだ、学生時代の友人から電話をもらい、休日にランチを一緒にとることになったのだが、待ち合わせ場所は銀座の老舗デパートの前にするという。

混むからやだな~と思いつつ承知して、当日出掛けた。

少し前に着いた僕はライオン像から少し離れて立ち、交差点の雑踏から颯爽と出現する友人をイメージしてあたりを見回していたのだが、、時間になっても現れない。

そろそろそわそわし始めたころ、なんとなく後ろにひとの気配を感じたので振り返ると、ショーウインドウの中に彼女がいるではないか!

少し前から僕に気づいていたらしく、口をパクパクさせ、身振り手振りでちょっと待ってね、と言いながら、マヌカンと一緒にマネキンが着ているジャケットを脱がせている。

驚いた僕は、やはり声を出さずに「略奪?」と尋ね、相手は違う違うと顔をしかめて手を振った。

おいおい、「マネキン」(その年に大ヒットしていたラブコメディ映画)か、と苦笑しながら待って、現品限りのアイテムをゲットしてご満悦の友人と、パスタを食べた。

 あれから何十年という長い長い年月の中で、とんでもない経験もさまざまあったけれど、それでもなお、思い出すたびぷっと吹き出してしまう特別な出来事だ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする