61 メリークリスマス

　クリスマスイブである。クリスチャンである妻はミサに出かけ、そうではない僕は留守番。むかしむかし半年だけ通った小さな幼稚園がそちらの系統だった。園長先生が牧師さんと言っていたからプロテスタント系だったのだろう。戦後のどさくさの中で幼児教育を目指したのだからそれなりの覚悟とかあったに違いない。親は宗教的な意味で行かせたのではなくて、たぶん、僕がめそめそしい子供で、それを心配した生意気盛りだったであろうだいぶ年上の姉が、こんな子では心配だから小学校前に集団生活に慣れさせた方がいいわよ、とか炊きつけたのではなかろうか。自分でも良くわからないのだが、けっこう讃美歌（妻のカトリック系では聖歌というそうだが）を歌えるのだ。後に、口調で覚えていた歌詞の意味などを反芻したのかもしれない。小学校一年生の時は、どういう訳か男の先生が、日蓮上人の絵本をくれた（少し贔屓だったのかな）。その本もよく理解？して、ふーん、乱世でもがんばる人がいるのだ、ということはわかった。
結局これまで宗教的な人生を送らなかったが（あ、日蓮宗系の勤め先だったことがあるが、それは偶然）、メリークリスマスでも立正安国でも何でもよいが、変な争いが少なく、苦しむ人がなるべくいない世になると良いなとは思っている。