長生き日記

長生きを強く目指すのでなく良い加減に楽しむ日記

439  『夢とどかず』

2017-03-31 23:11:12 | 日記
  阿部康男第二歌集 角川2017年2月刊
阿部さんは東京近辺のかりん長老男性の一人。93歳の今も矍鑠と歩く姿は壮年のようである。言いたいことをはっきりおっしゃりながら全体的配慮が優れている方だ。この歌集では、短歌を始められたきっかけであった、今は亡き奥様の病床の様子や一緒にされた旅行の歌、戦地の経験、近年の思いなど様々な題材が取り上げられている。「よっ、どうした、元気か」なんて呼びかけられそうで、本物の長生きの神髄に近づかなくてはと身が引き締まる思いがする。

夢てふは届かぬもの」と人のいふつねに抱きて追ひたし吾も
父われとショッピングすれば店員に「奥様」と呼ばれふくるる娘
臼杵湾の海に突き出す亀ケ城キリシタン大名の布教所も在りし
男橋・女橋相会ふところ出会橋ほたる群れ合ひ人も群れ会ふ
柳川のうなぎ屋の家紋「違ひ鷹」わが紋と同じのれんをくぐる
油物喰べてはならぬ妻の食やつと見つけしワイン煮の鶏
「キリスト」と言はずに「神」といふオバマイスラムとの和に秘めし心は
耳許に「いつも居るよ」と囁けば妻はかすかにほほゑみ返す
惨敗に碁石見る気も失せたるに時経ればまたやる気出る不思議
「かまぼこ」の仙崎訪ぬ亡き妻の愛せし金子みすゞの育ちし
満洲で耐寒訓練終へたあと突如転進の命南方戦線へ
船団十艘中古商船の改造ものスクリュー波に浮き速力五ノット
わが隊は台南上陸の米軍に背後ゆ斬込む竹槍訓練
核有(も)たず武器も売らない稀有の国グローバル・プレイヤーたれ我が日の本よ
新年のウィーンフィルのラディッキー満場の手拍子いいな平和は
戦後間なし渡月橋下流で泳ぎたる吾をたしなめ笑ひをりし君
言ひたいこと言ひ合へどしこり残らざる歌会は清(すが)し 世界は混沌
生きるとは何にやあらむとつね想ふ所詮懸命にただ生きること

438  東京大空襲

2017-03-28 23:42:15 | 日記
  今日は烏山の短歌会。港区で大空襲にあわれ、お家を焼かれた女性の方の歌が出た。空襲は下町の被害報道が多く、城南の方はあまり報道されなかったそうだ。各自、自宅の消火をするように言われていたが、そんなことは言ってられずとにかく空地を目指したという作品。すると「僕も白金にいたのですよ」と同じ90歳前後の方。会員の半数以上は終戦前に生まれている(僕もかろうじて)。戦争の記憶を残すのに短歌は有効だと思う。
  写真は関係ないが、僕はこのタイプのカタバミが何となく好きである。焼かれた街のコンクリートの割れ目から咲きだすイメージがあると言えばこじつけすぎるだろうか。


437  春の草

2017-03-27 23:31:37 | 日記
  昨日今日と気温が低いが確実に春になっていて、放置畑の際にはナズナ、ホトケノザなど春の草がのびのびと生えている。大きく伸びたハコベをお浸しにしてかつお節をかけて食したら体の中に春が入ったようだった。可哀想な事件事故が起きている。


436  しつこくしない

2017-03-25 23:58:13 | 日記
  春の花は黄色いのが多い。山茱萸の枝でヨーグルトができるのに感激してマンサクでもやってみた。似たような黄色い花である。マンサクでできれば苦くないのが出来るかもしれないと、サンシュユの場合と同様小グラスに枝と花と牛乳を入れて置いた。三日おいて今日枝を引き上げてみると、おや、固まっている。ヨーグルトだ!となめてみるが酸味がない。pH試験紙で見ると7から8程度、うむ、これは乳酸ができて固まったのでなく乳脂肪がくっついたもののようだ。サンシュユの時はpH3~4であった。マンサクでももっと置いておけば塊の内部の方で酸素が少なくなって乳酸発酵が起きるかもしれないが(たぶん乳酸菌は少しくらいはいるだろうから)、それでヨーグルトができると騒ぐならほとんどの植物、動物でも出来そうだから、追求はしないことにする。やはりブルガリアか何処かでヨーグルトの木と呼ばれる仲間の山茱萸にはそれなりの実力があるのだろう。

435 配管接続不良

2017-03-24 23:20:49 | 日記
  少し悲しい話。お年寄りがものをなくしたと騒ぐとか、財布が見つからないで手提げ袋の中を弄り回す光景はよく目にするものだ。
今日というか、いま現在ぼくがその状態で、先日の短歌の会の会場費の領収書が見つからない。これは後で会計係に渡すので大事だから別にしまっておいたはずなのだがその別とはどこかが不明になり、徒に時間が過ぎていく。ううう 取り急ぎ ううう