非常事態宣言で 一時的に 収束していること！

　
　毎日100人を超すコロナウイルス感染者が確認されているタイ国。皮肉にも「非常事態
宣言の発動」により、プラユット政権にとって、収まっていることが もう一つありましたネ。

タイ憲法裁判所は今年の２月末、若者や中間層に支持されているタナートン氏（41）
率いる野党第二党の「新未来党」の解党が命じられたのは、記憶に新しいでしょう。

　
　＜解答を受け記者会見の新未来党とタナトーン氏（中央）＞

総選挙で躍進した革新系新党・新未来党でしたが、解党によってタナートン氏ら党幹部16人の
参政権が10年間停止されました。人気もうなぎ登りでしたが、16人は下院議員を失職しました。

こうして 軍政をはじめ守旧派は、これまでも司法の力を利用し、批判勢力を排除してきた経緯が
ありますが、この解党で巻き起こったのが、大学生らの抗議集会でした。解党される 少し前から

各地の大学で自然発生的に起き、既に抗議集会は50回ほど開かれており、全国に広がっていました。
学生らは、軍政の流れをくむ政権を「見せかけの民政」だとして、怒りの声を上げ訴えていました。

　

２月29日には、バンコクにあるカセサート大学に千人近くが集まり、事実上の軍部トップの
プラユット首相の退陣を訴え「軍事政権と独裁者を許すな！」と、市民に訴求しています。

この勢いに力を与えたのが、ＥＵ（欧州連合）や米国です。「民主主義国家で多数の有権者が
支持した政党が解党される事態に懸念を表明した」からです。　ＥＵは「タイの複数政党制の

後退だ。民政復帰プロセスに逆行する」と声明を発表。在タイ米大使館も声明で「600万人
以上が新未来党を選んだ。　解党は、有権者が投票する権利を脅かす」と指摘しました。

　
　＜在タイ米国大使館＞

輪をかけて、タイ国内でも名門タマサート大学の法学者36人が、憲法裁解釈に異議を唱える
声明を発表しました。これで大学生を中心とした若者の抗議集会が、多く会合されるように …

個人的には、“これは下手すると香港のようになるかも知れない” と思っていました。
その矢先です。タイにも新型コロナウイルスの感染者が出始めて、保健省から抗議

　
　＜多くの女子大学生も抗議集会にやって来ました＞

集会を問わず、人が集まる会合やイベントを自粛するよう要請するようになったのは。
当然のこと、抗議集会も中止されるようになり、そこへ「非常事態宣言」の発令です。

発令の内容には16項もの禁止令が謳われていますが、その『第５項 集会の禁止』には、
「非常事態対策の責任者（プラユット首相）が指定する、ないし治安維持関連法が定める

　

いかなる場所においても、密集状態を生じ、治安の不安定化を誘発するような集会もしくは会合の
実施を禁ずる。」とあります。　これによって抗議活動など　全て封じ込まれてしまいましたネ。

プラユット政権は、新型コロナウイルスの対策で四苦八苦でしょうが、結果として 反政府
運動を抑え込む形になっています。　内心 しめしめ と思っているかも知れません ネ。　　


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