「松唐草炭斗」「利休円座・りきゅうえんざ」
大名物(※1)。唐物円座肩衝(かたつき)茶入。千利休が所持したことにより、この名があります。甑(※2)が高い独特の形で、円座とは畳付(※3)が一段立ち上がって削り出されている状態を言います。総体に光沢のある黒飴釉がかかり、一筋流れ下がって置形(※4)をなしています。牙蓋4枚、仕覆4枚と四方羽田盆(※5)2枚が添う。元、本能寺の什物で三好氏を経て豊臣秀吉の所有となり、利休が賜った。その後、徳川将軍家に入り、姫路酒井侯に下賜されました。現在は五島美術館所蔵。
※1大名物(おおめいぶつ) 足利義政の宝物(東山名物)やこれに準じ、しかも名家に伝来した宝物の尊称。
※2甑(こしき) 茶入の頚部のこと。
※3畳付(たたみつき) 茶入の底の畳にあたる部分。
※4置形(おきがた) 茶入の正面になるところ。
※5四方羽田盆(よほうはねだぼん) 黒漆塗りの四方盆で、端が矢筈になったもの。東山時代の塗師・羽田五郎の創意と伝えられる。