絵本の古本屋 【えほんやるすばんばんするかいしゃ】

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サイトヲさんのこと。

2022-11-12 | ●思うこと


サイトヲさんには今回のちきさんとの展示でもお世話になってるけど
もうすぐ完成する杉本さなえさんの新しい本でもお世話になっている。

杉本さんの本づくりでは、サイトヲさんの執念みたいなものに
たくさん助けられたし、なにより心強かった。
印刷や製本段階で(それ以外でも)、無理だと思われていることも
わずかな可能性を見出し提案し交渉してくれる。
それは本来、僕の仕事かもしれないんだけど、
僕が同じことをやっても圧倒的に足りないものがある。
これを言葉にするのは難しいけど、、、おそらく「創造性」という言葉が近いかもしれない。
たぶん、これがないと、たとえ執念があっても ただのわがままになる。
実際、過去に自分もそれに近いことをやってきたつもりだけど、
混乱をさせただけだった気もする。
できるはず!という理屈とイメージが自分の中にあっても、
それを裏付ける経験や実績、そして具体的なビジョンがないと、
相手は非常に困るのだ。そういうものを総称すると「創造性」となるのかなと思う。

無理だと思われていることの大半は素晴らしい技術や仕組みが生まれて
その進化のあとにやってくる影の部分なんじゃないかと思う。
日々の生活の中で当たり前に感じるくらい自然な存在になっている素晴らしいものたちは
常識を生み出し、スタンダードになっていく。その強度は日に日に増し、頑丈になっていく。
それは安心に繋がり、よいものをもたらしてくれる。
でも、その変化や進化の中に柔らかさがなければ、いつの間にか硬化していく。
そして、それ以外の意識や思考を遠ざける。

サイトヲさんが、ちきさんと商業の絵本をやり始めたとき
可能性みたいなものが拓かれていくような気がして、すごくうれしかったのを覚えている。
画像の絵本「いろいろかえる」は、二人が作った本の中でも特に好きな作品で
この本が出たときは「わーっ!」となった。
この本の素晴らしさみたいなものを僕が書くと暑苦しくなるからやめておくけど、
この可能性をずっと妄想・想像していたので実際に感じられたことがうれしかった。
この本ができた過程はよく知らないけど、事実としてこの本が生まれたことで
僕の中でいろんな可能性が広がったのは間違いない。
この先にもう少し、なにかがある、できる。こんなことが思えるのはとても幸せなことで、
もう少しここに居させてもらっても大丈夫な気がした。

そんなことを踏まえつつ、サイトヲさんとちきさんの今回の展示は
僕の中では「種」みたいなことをやってるつもりで、
これをやったからって何か意味があるわけでもない。
どうなるかはわからないし、目的があるわけではない。
自然に芽を出して、育っていくといいなと悠長なことを思っている。

サイトヲさんは現在、ちきさんだけでなく、
いろんな作家さんの商業絵本を手掛けるようになっている。
言葉にするのは野暮かもしれないけど、それぞれの本からサイトヲさんの執念と創造性を感じている。
そして、この地道な活動が層になっていくとき、
無理だと思われてたことはいつの間にか可能になっていると思う。

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サイトヲさんときくちちきさんの展示「一枚の絵本」は、明日と明後日、11/14(月)で終了です。
観て頂けたらうれしいです。

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