「ロシアの装丁と装画の世界」巡回展、先日無事におわりました。
自分のお店だけでおしまいになると思っていたこの展覧会。
巡回展のことなんて考えもしなかったので
決まったときからずーっとありがたいことばかりでした。
店主・寺岡さんのいる紙片という場所で巡回展をやって頂けて、とても幸せでした。
ここから、長くなります。
実はこの展覧会、
いまの自分たちを象徴するような展覧会でもありました。
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「わかる」「わからない」の境界線ってほんとに曖昧で
たまにそのことに振り回されちゃうことがあります。
でも、たぶんおそらく、、、どっちもない。と、思うけど。
文字の安心感と、絵の安心感。
たぶんぼくは、いつの頃からかこの二つに支えられながら
本や絵を見てきてたのかもしれません。
かすかにひっかかるそれを頼りに、
何かを理解しようと、何かを感じようとしてきたのかもしれません。
でもほんとはもっと前に感じるものがあって
それに心は反応しているんだけど
頭が追いついてなくって、がんばって
理解というやつをしようとしていたような気がします。
今回のロシアの本たちがうちのお店にやってきたのは、いまから4年前。
自分の中でどうにも折り合いがつかず、4年という歳月が経ってしまったわけですが
長い間、ぼくを悩ませた相手が 英語の本でもフランス語の本でもドイツ語の本でもなく、
ロシア語の本っていうのは、よかった。
なんにもわからない。
なにもわからないのに、「いいなあ」なんて感動してる悠長な自分と
なにもわからないのに、販売なんてしちゃいけないと思う堅苦しい自分がいて、
どうしたらいいのかわからない。
もやもやとした時間がただただ流れ、
その二つの折り合いがついたのは、昨年の暮れ。
2016年の12月、紙片さんに初めて訪れたときのことでした。
どきどきするけど、ホッとする場所で、
なんだかんだ3時間くらい居たような気がします。
ぼくが想ってきたことと近い感覚のような気もするけれども
それをまったく対極の表現で、紙片は存在していました。
なんと言ったらいいんだろう、、、
理解より前にやってくるものを信じても大丈夫な気配。空気。
そんなものがたしかにありました。
自分の中にあったなにかが溶けていくような、
なんとも言えない心地いい体験でした。
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ロシアの本のおかげで、
本って一体なんだっけ?って思えたし
紙片さんのおかげで
お店って一体なんだっけ?って思えたし
いままで当たり前のようにに見ていたものたちが
いま、いい具合にわからなくなって
いろんなことが大丈夫なような気がしてます。
独りよがりに近いかたちではじまったこの展覧会。
来て下さった皆さんが それぞれの感覚でたのしんで下さったり
紙片さんが巡回展をやって下さったおかげで
自分だけのものではなくなったような気がしてとてもうれしかったです。
やってよかった。
来て下さった皆さま、気にかけて下さった皆さま
本当に本当にありがとうございました!
そして寺岡さん、本当にたくさんお世話になりました。
感謝しかありません。
そして紙片さんとは、いま一緒に作っている本があるので
その辺のことも改めて書かせてください。
(長々と失礼いたしました。)
店主
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