猫のキキとヒゲおじさんのあんじゃあない毎日

『あんじゃあない』って、心配ない、大丈夫っていう群馬の言葉、いい歳こいたキキとおヒゲのどうってことない前橋の暮らしです

穏やかな秋の日、田中仁さんの特別講義『前橋ビジョンについて』のあらまし(前編)をキキに話してました。

2016-11-14 05:24:18 | あんじゃあない毎日

昨日は穏やかな秋晴れでした。家の仕事を片づけてからキキの食餌の買い出し、途中前橋子ども公園を覗いたらすごくたくさんの家族連れで溢れていました。
お弁当持参の皆さんが多いみたい、色づいた公孫樹の木の下の芝生にシートを拡げ、楽しそうです。

 田んぼ道、お母さんと子どもたち、なんかすごく嬉しそうに歩いています。きっといいことがあったんだろうな…

  麦の種まきを前に耕運機が田んぼの土を起こしています。畔際では、農婦が鍬を使っています。風もなく、暖かい日で良かったですね。前橋の晩秋です。

 家に戻るとすぐに、キキに買ってきた食餌を見てもらいました。
<…………>、ダメ出しがなかったんで合格みたいです。
<それよかさ、昨日言ってたじゃない、田中仁さんの前橋ビジョンのお話し、だいたいのところなら教えてくれるって、待ってたのよ…>、催促されちゃいました。
「うん、今メモとって来るね…」

 ということで、12日(土)に前橋工科大学の公開講座の一環として行われた、田中仁さん(田中仁財団代表理事)の特別講義のあらましをお伝えしたいと思います。
テーマは、前橋ビジョン「めぶく。」についてです。

 <だいたいさ、田中さんはどうして前橋のまちにビジョンなんかが必要だって考えたの、そこんとこから教えて…>
「田中さんはこう言ってたよ、『ビジョンを持っている組織と持っていない組織では大きな差がでます。都市も同じです。日本の地方都市でちゃんとしたビジョンを持っているとこがありません。そのことが地方都市の将来に希望が持てない原因となっていると思います』って。
何処の都市でもさ、行政が作る計画やビジョンってのはあるんですよ、でもね、それは市長が交代すると変えられたりしてね、長〜く続かないのね。都市で暮らしている市民や、そこで活動している企業や団体なんかがみんなしてこのまちはこうなるといいな、こうしたいなって思い続けることのできることがないんですよ、田中さんは、それが必要だって考えたのね」
<ふ〜ん、”まちの哲学”だね…>
「そうなんだよ…」

 「講義で田中さんは、まず、前橋の現状として、面白い調査結果を紹介してくれたよ。博報堂の県庁所在市に関する魅力度の調査なんだけど。
まずさ、『どこにあるか分かる』ってのでは前橋は第45位、げっぴから三番だいね」
<そんなに知られてないの?>
「うんそうだよ、関西になんか行ったらさ、前橋の位置を日本地図の上で正確に指させる人って10人に一人いるかいないかだろうね。
つぎはさ、地価公示価格なんだけど、これは46位、げっぴから2番目」
<土地が安いってのはいいことじゃないの?>
「うん、家建てて暮すのにはね。でもさ、地価が低いってことはね都市の経済活動の水準が低くて経済価値も低いって評価されることもあるんですよ、稼げないまちってことになるのかな、だから良し悪しなんだいね…
三つ目にはさ、『子どもの教育費が高い』ということで、これは最下位の47位なんですね。言い替えると子どもの教育に金がかからない、あるいはかけないってことになるのね」
<へえ〜、教育費が一番かからないと都市なんだ、すごいね!>
「講義の前に田中さんとこのことでお話ししたんだけど、理由はいくつかあるんですよ。一つはね、前橋は公立の小中学校や高等学校がしっかりしていて、私立学校に頼らなくても子どもの教育ができるんですね。だから、高校までの教育費の負担は少ないんです。それとね、前橋から通学可能なところに国立大学が1校、公立大学が前工大も含めて4校もあるんです。国公立大学は私立大学に比べると学費が半分以下ですからね。全国でも国公立大学がこんなにしっかりあるところはないんですよ」
<なるほど、最下位って、一番恵まれてるって考えればいいんだ、子育てし易いって…>
「そうだいね。
それから、田中さんも笑いながら紹介してたけど、この調査には変な結果が二つあるんだってさ。その一つはね、『女性の幸福度が高い』って項目で最下位の47位、『美人が多いというイメージがある』という項目でも最下位の47位なんだってさ。女の人たちが幸せだって感じられないまち、きれいな人の少ないまちだっていうんだいね、本当かな…」
<嘘だい、キキは女だけど幸せだよ、おヒゲやユキ子さんと暮らしてて、それに優しい狩野獣医さんもいてくれるし、リバティーさんはじめ素敵なお店もあるよね…、それに美人が多いってイメージがないって誰が答えてんだいね、おかしいよ…>
「結局さ、前橋の魅力度ランキングは最下位の47位なんですって」

 <で、田中さんはこの調査結果についてどう考えているの、前橋は魅力のないまちだって言ってるの?>
「違うよ、『前橋市民は自分たちの魅力をちゃんと認識して、正しく発信し行くことがうまくできていないと考えられます。それは、他の地方都市に見られるような急激な人口減少や企業活動の急速な衰退などもなく、差し迫った問題もないからかもしれません』って評価してました。のんびりしてんだいね」
<のんびりしてんだ…>
「そうみたいだよ、おヒゲもさ聞いてて思ったんだけど、ランキングが低いことを嘆く必要な全くないよね。むしろ、認められてない価値がたくさんあるってことは未来へのの希望だいね」
<なるほど、そう考えればいいんだ…>

 

 「いよいよビジョンの話になってね、田中さんはね、『地方創生の成功の鍵』って本を書いている経済学者の飯田泰之(明治大学准教授)の説を引用してね、『地方都市のほとんどが地方創生に取り組んでいるのだけれども、そのほとんどが成功していない原因を考えなくてはいけないです。不成功の理由は、長期的視点に立った理念や哲学を欠いているからだと考えられます』と話してました。これは、キキの最初の疑問だったいね。大事なことだよね。
みんなが、同じ考えで、同じことやることはないんだけど、共通した願いというのかな、こうありたいと夢はもってなくちゃダメなんだいね」

 「田中さんはビジョンについて二つの視点で説明してくれたよ。一つはね、『存在しているさまざまな活動が、ある目標に向かって集約されて行く、その目標がビジョンです』って」
<あ、分かる分かる、兎と亀のかけっこみたいなんでしょう、みんなして山のてっぺんの旗めざしてもぼって行く、あの旗なんだね、ビジョンって…>
「そうみたいだね、みんなが何か始めるときってさ、バラバラなのは当たり前なんだいね、それぞれに目的を持っているのだから。でもね、都市のような一つのまとまりをもった地域社会ではね、バラバラのママだと力が出ないんだいね、目的や手段は違っていても、大きな目標は共有しようぜって田中さんは言っているんだよ」
<なるほどね、猫と人が一緒に暮らすのもそうだよね、違いを越えてだもんね…>

「もう一つはさ、『ビジョンは木の根っこです。根っこがしっかりしてないと木は倒れてしまします。みんなが自分たちの根っこを意識することが大事なんです』って、田中さんは話してくれたよ」
<そうか、前橋の根っこ、なんなんだろうね>
「それが、前橋ビジョンなのさ」

 「この画像はね、田中さんの会社・株式会社ジェイアイエヌ(JINS)のビジョンなんですって。『Magnify Life』って根っこのとこに書いてあるのね、これがJINSのビジョンなんですね。JINSはグローバル企業だからビジョンも英語表記なのね、訳は『人々の人生を拡大し豊かにする』ってことなんです。『このビジョンをつくり、みんなで共有して取り組む中から、PC用のレンズや花粉症対応の新しいメガネなんかが次々と開発できました。売り上げも5年間で5倍に増えました』って田中さんは話していました。企業という組織でも、ビジョンがあるかないかは大きな違いを生むと田中さんは力説しています」
田中さんはこのビジョンについてこんな風に話しています。田中さんの会社のビジョンは田中さんとその仲間たちの『志』みたいです。
また、眼鏡の情報サイトはこんな風に報じています

 <なるほどね、ビジョンて大事なことなんだね>
「そうなんですよ、とても大事なんだいね。特にね、『長期』ってことが大事なんですよね。市長さんが交代しても、市議会の勢力が変化しても、商工会議所の会頭さんが替っても、そういうことに左右されない、市民が長くこれで行こうって思えるものが必要なんですよね」
<そうだよね、選挙のたびに変わってたら変だよね…>
「田中さんはそのことについてこう言ってたよ。『まちは政治家のものではない、市民のものです』って。この思想は大事だよね。言葉で言うのは簡単だけど、この言葉の通りにいろいろなことを実現していくのはとても大変なことだと思うんだいね。でもね、田中仁さんは、この言葉の通りに前橋ビジョンの制定にかかわって来たんだいね」
<そうなんだ…>
「今日はここまでね。後半は明日にしようぜ、朝ごはんにしなくちゃいけないから…」

 

広瀬川の交水堰も秋色になりました。水位が下がって流れの緩やかになった堰の下流でカルガモが群れてました。

  ニシキギの葉が真っ赤、桑の葉も記録なってきていました。

  中央イべント広場では前橋商業吹奏楽部がまちなかコンサートを開いていました。明るい音色が前橋の中心市街地を包み込んでました。

 街を歩く人が増えた気がしています。それも、若い子どもを連れた家族やカップルの姿が目につくようになってきた気がしてるんです。前橋の中心市街地は少しずつですけど変わろうと空いている気配を感じます。
素敵な秋です。

 

   夕食はゼンフーズの小麦W-8号を使っている『かかあのぎょうざ』と、ニンジンいっぱいのスープでした。

 

 

 時々登場いたします若柳糸駒ことユキ子です。直派若柳流の師範をしておりまして、前橋の『美登利会』に参加しております。
73回目を迎えました今春の美登利会の舞台の様子はコチラです
お稽古場は前橋市城東町四丁目です。詳しくはコチラをご覧ください

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