坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

20世紀美術 冒険と創造の時代

2011年09月08日 | 展覧会
地方自治体の県立美術館は、それぞれの特色をもったコレクションと研究がされていますので、それをうまく国内で巡回できれば大型の国際展に引けを取らない企画展に発展していきます。
本展は、富山県立近代美術館と新潟市美術館の共演により、20世紀美術の流れを、ピカソ、ミロそしてウォーホルら巨匠らの作品群でたどります。
1981年に開館した富山県立近代美術館は、20世紀美術を代表する作家の作品を蒐集してきました。その充実したコレクションから厳選した70点の作品に、新潟市美術館所蔵の作品を加えた100点の展覧により、20世紀美術の多様な展開が示されます。
富山県は日本にシュルレアリスム運動を紹介した滝口修造の出身地であり、エルンストやミロ、マグリット、デルヴォーといったシュルレアリスムたちの作品に加え、現代美術に影響を与えたマルセル・デュシャンの作品も多数所蔵しています。
この特質を生かし、ジャコメッティ「みつめる頭部」やヨセフ・コーネルのボックスアート(新潟市美術館蔵)が加わったシュルレアリスムのコーナーは見どころとなっています。
・掲載作品パウル・クレー「プルンのモザイク」1931年(新潟市美術館)。クレー52歳のときの作品で、バウハウスを退職後、デュッセルドルフ美術アカデミー教授に就任した年に描かれました。この時期幾何学的な線描と構成的な立体モデルを多数制作しました。ブルーモスクのモザイクの色に似た美しい色彩構成となっています。