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【セレクションセール】№73アメージングムーンの2018(牡 父モーリス)

2019年06月20日 | セール上場馬
久々の更新となりますが、今年のセレクションセールに2頭上場することになったので、そのうちの1頭であるアメージングムーンの2018を紹介させていただきます。

なお、本馬の牝系解説文についてはこちらをご参照ください。











本馬は現在当場の1歳分場にて昼夜放牧をしながらセリ馴致をしている状況です。

セリ馴致を施すことはもちろんですが、将来の競走馬という意味でも、昼夜放牧しながらしっかりと基礎体力を付けさせたいと考えています。

モーリスの産駒がまだデビュー年を迎えていないのでわからない部分もありますが、本馬を含めたモーリス産駒を見ていると、胴回りに厚みがある一方で身のこなしにはしなやかさを感じさせます。

本馬も柔軟性を備えた馬体で、放牧地ではバネの効いた走りをすることから、芝向きなのではと考えています。

1月24日生まれということもありますが、現段階での馬格は十分だと言えますし、放牧地で他馬を追い回す姿からは悍性の強さと運動神経の良さを感じさせます。

本馬の半兄アメージングサン(父ロードカナロア)が2歳デビュー前とはいえ評価が高いようで、すでに入厩していて7月6日の函館新馬戦を目指して調整中とのことですから、今からデビューが楽しみです。


ここからは、本馬の血統についてご紹介したいと思います。

本馬の父モーリスはスクリーンヒーローの代表産駒ですが、モーリスのほかにもゴールドアクター(G1有馬記念)やグァンチャーレ(G3シンザン記念)など、スクリーンヒーローはRoberto系種牡馬らしく牡駒のほうに活躍馬が集中しているのが特徴的です。

スクリーンヒーローは、その父グラスワンダーと母ランニングヒロインがいずれもHail to Reason系×Northern Dancer系の組み合わせを持つので、彼は父母相似配合とも言える血統パターンを持っています。





さらにスクヒーンヒーローの2代父Robertoの血統に関しては、スクリーンヒーロー以上に父母相似配合の血統をしています。





それぞれの父系にRoyal Charger≒Nasrullahがあり、母方にBlue LarkspurやSir Gallahad(Bull Dog)を持つ点でも共通しています。

そのため、Hail to Reason≒Bramaleaの相似関係が成立すると見なしているわけです。

これを前提にすると、Robertoの血を引く馬のなかでもHail to Reasonクロスを持つ馬の場合には、同時にHail to Reason≒Bramaleaの相似クロスも持っていることになります。

その血統パターンを持つのがスクリーンヒーローであり、息子のモーリスやグァンチャーレなのです。

アメージングムーンの2018の血統はHail to Reasonを6*6*7×6*7で持っていて、父モーリスや2代父スクリーンヒーローの血統傾向を受け継ぐ配合になっています。

サンデーサイレンス4×4を持つ本馬ですが、サンデーの2代父Hail to Reasonの血を活かす意味でも、この4×4のクロスは好影響を与えてくれると考えています。

また、本馬にとってHail to Reasonクロスは、既述のBramalea(Robertoの母)の血を活かす以外にも、母方にあるカコイーシーズの2代母Miss Uppityの血を活かす意味もあります。





それぞれの父系にはRoyal Charger≒Nasrullahの関係があり、母方にはSir Gallahadの名前を見つけることができます。

ここにBramaleaを加えたHail to Reason≒Bramalea≒Miss Uppityという相似クロスは、アメージングムーンの2018にとって大きな血統的特長だと捉えています。

父モーリスに焦点を当てると、父スクリーンヒーロー内にあるHail to Reason系×Northern Dancer系の組み合わせを持ったグラスワンダーやランニングヒロインという血に対して、同じNorthern Dancer系×Hail to Reason系の組み合わせから成るSadler's Wellsの血を持つ牝馬との間に生まれた点に、血統的な相性の良さを感じます。

実際、このスクリーンヒーロー×Sadler's Wells持ち牝馬という配合からはミュゼエイリアン(G3毎日杯)なども出ていて、勝ち上がり率も悪くない印象です。

アメージングムーンの2018の場合、母方にNorthern DancerとHail to Reasonの血を持つCaerleonが入っているので、モーリスが持つグラスワンダーやランニングヒロインあるいはSadler's Wellsといった血をうまく活かすことが可能だと考えています。





アメージングムーンの2018の牝系に目を向けると、2代母ビッグテンビー(G1勝ち馬ローレルゲレイロの母)の血統傾向に大きな特徴があると思っています。

この牝馬は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当する血脈を3本(モガモポイント、テンビー、その父Caerleon)持っています。

この傾向を持つ血は多く、有名どころではStorm Catやダンシングブレーヴなど、多くの血脈がこのカテゴリーに該当します。

そして、モーリスの血統においてはカーネギーが同様の血統傾向を持っているので、アメージングムーンの2018に関してはカーネギー≒テンビー≒Caerleon≒モガミポイントといった関係が成り立ちます。

「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」を多く持つ馬には柔軟性に富んだ馬が多い印象を受けますが、アメージングムーンの2018の動きにもそのような点が見受けられます。

ちなみに、本馬の叔父ローレルゲレイロ(G1高松宮記念、G1スプリンターズS)はキングヘイロー産駒ですが、彼の2代父は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当するダンシングブレーヴです。

ローレルゲレイロの母ビッグテンビーの血を活かすためにキングヘイローを配合しましたが、その結果として生まれたローレルゲレイロはスピードと柔軟性を武器に芝馬として成功してくれました。


セレクションセールでは、多くのモーリス産駒が上場予定となっています。

他のモーリス産駒と比較する際の一助として、この記事を読んで下さると幸いです。


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