今日4月9日は、“フォークの日”です。
去年は、ウクライナ戦争勃発直後ということで、反戦フォーク的な歌を多く紹介しました。
それから一年経っても、まだ戦争の終結は見えず……ということで、今年も同趣向の記事を投稿します。
森山良子さんの「坊や大きくならないで」。
ベトナム戦争を題材にしたもので、ベトナムの詩人が書いた詩がもとになっています。マイケルズというグループのバージョンが有名ですが、森山良子さんも歌っています。
坊や大きくならないで
この歌のメッセージは、以前紹介した「愛する人に歌わせないで」という歌の反語的表現に通ずるものがあるでしょう。
大きくなれば、兵士として戦争に行かなければならない、だから大きくならないで、という……
森山良子さんは必ずしも反戦フォークというような方向性の人ではありませんが、「さとうきび畑」なかもあるわけで、やはりそういう歌を歌う、歌わなければならない、という部分がどこかにあるのだと思われます。
以前紹介した岡林信康「私たちの望むものは」。
松山千春さんによるカバーで。
私たちの望むものは
私たちの望むものは あなたを殺すことではなく
私たちの望むものは あなたと生きることなのだ
まさに、いま必要とされているメッセージでしょう。
この歌には、次のような歌詞もあります。
私たちの望むものは 社会のための私ではなく
私たちの望むものは 私たちのための社会なのだ
私たちの望むものは 与えられることではなく
私たちの望むものは 奪い取ることなのだ
この歌詞に共感できるかというところが、一つ大きなことなんではないかと思います。ここに共感できないという人が多数だと、ロシアみたいになってしまうのではないかと……
また、松山さんのバージョンではカットされていますが、オリジナルには次のような歌詞もあります。
私たちの望むものは 決して私たちではなく
私たちの望むものは 私であり続けることなのだ
この感覚は、ロシアにも、日本にも欠如していることだと思われるのです。
マルビナ・レイノルズのBitter Rain。
これを日本語カバーにした高石ともやさんの「冷たい雨」という歌を以前紹介しましたが、その本人バージョンを。
Bitter Rain
私は豊かな世界に住み、自分の身を守ることができる。
だけど、どこかで、子どもたちが冷たい雨に打たれている……
武田鉄矢「雲がゆくのは」。
以前は、ドラえもん大長編といえば武田鉄矢さんでした。この歌は、『ドラえもん のび太と雲の王国』のテーマ曲。歌の内容は、先ほどの「冷たい雨」に通ずるものがあるんじゃないでしょうか。最後のほうには、ダイレクトに「冷たい雨」という言葉が出てきます。
Kumoga Yukunowa
武田鉄矢さんといえば、最近は頑固おやじ的発言が顰蹙を買うことも多いようですが……まあ、よくも悪くも昔かたぎということなんでしょう。
さだまさし「防人の詩」。
去年は、ウクライナ出身のナターシャ・グジーさんによるカバーを紹介しましたが、ここでは本人バージョンを。
この歌は、奇しくも日露戦争を題材にした映画『二百三高地』の主題歌でした。
防人の詩/さだまさし(3333 in 武道館)
昔かたぎで顰蹙を買うという点では、さだまさしさんも結構そういうふうになってきているかもしれません。「関白宣言」なんかは、現代の価値観だともうアウトということになってくるでしょう。まあ、時代の流れというところですが……それでも不易のメッセージというものもあるのではないかと。
加川良「教訓Ⅰ」。
21世紀におけるフォークの継承者とも目されるハンバート ハンバートによるカバーで。
教訓1
この歌の歌詞も、露宇戦争で深く考えさせられるところです。
青くなって尻込みなさい、逃げなさい、隠れなさい……というメッセージは、はたして侵略戦争という状況において妥当なのか、と。
難しい問題ですが、少なくともロシア兵に対してはストレートなメッセージになると思います。お国のためときれいごとを並べられても、命のスペアはありませんよ……