むらぎものロココ

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ヴィクトリア

2005-06-22 01:15:47 | 音楽史
victoriaVICTORIA
REQUIEM
 
Peter Phillips
THE TALLIS SCHOLARS

トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア(1548-1611)は、1565年にフェリペ2世から奨学金を受けてローマに留学した。
当時のスペインは植民地政策によって未曾有の発展を遂げていた。イタリアとの結びつきも深まり、国王フェリペ2世は国内の音楽家に奨学金を与え、ローマに留学させていた。ヴィクトリアは1571年にはコレジウム・ロマーヌム(ローマ学院)の楽長となり、前任の楽長であったパレストリーナに師事することになった。その後、1575年に聖職者になり、1583年にスペインに帰国すると、マドリッドのデスカルサス・レアレス修道院の司祭、楽長、オルガニストとなり、死ぬまでその地位にあった。

ヴィクトリアは16世紀スペインが生んだ最大の音楽家であった。彼はパレストリーナゆずりのポリフォニーの技巧とスペイン的な神秘性を融合させた音楽をつくりあげた。不協和音を大胆に用いた劇的な表現は、しばしば同時代の画家エル・グレコと比較される。

ヴィクトリアのレクイエムはスペインのマリア皇太后の死に際して作曲されたもので、数あるレクイエムの中でも屈指の名曲とされている。重く引きずるような低音部と高く昇天していくかのような高音部のコントラストが見事である。


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