今のマンションに来て
まだ間がない頃の話。
近所に小さな公園を見つけて
ときどきそこを歩いてみた。
小さいけれど、ややオトナ向きに
設計されてる雰囲気があって
遊具などは無く、水路に沿って
両側に並木道が続いてる。
どうして人がいないのか…
いつ行っても不思議なくらい
ひとりっきりの静かな空間。
水路の近くには、結構大きな
「鳥のオブジェ」が立っている。
なんということもなく
普段は遠くから見ていたけれど…
あるとき、もう少し近くで
見てみよう…なんて気を起こしたら
その「オブジェ」が突然動いた。
それも、ただ「動いた」んじゃない。
大きな翼の羽ばたく風を
バッサバッサと顔に受けるくらい
私のそばを掠めて飛んだ。
… 私は「驚愕」!!
なんでホンモノって
わからなかったの?
でも… いつも私がいる間
文字通り「微動も」しなかった。
青・白・グレイの取り合わせも綺麗で
「作り物」としか思えなかった。
生きてるアオサギさんを見たのは
それが初めて。
あんなに大きな鳥だったなんて!
その後はあちこちで
出会うようになった。
アオサギさんの側でも
メンドクサくなったのかも。
最近は、朝はその近辺の工場の
屋根のテッペンに止まったりしてる。
今思うと、あのときのアオサギさんには
動きたくない事情があったはず。
身体が大きい分、ムダな動きはしたくない。
寒いと余計にそうだと思う。でも
普通は人間が近づくと移動するヒト。
見慣れるうちに、そんなことも
わかってきた。
それでも…
夕陽を受けて、アーチ型の白い大橋
天辺にひとり、ポツンといるのを見たときは…
やっぱり「オブジェ」にしか
見えなかった。
日が落ち切るまで、ずっとずっと
見ていたくなる風景だった。