もうひとつの部屋

昔の記憶に、もう一度会える場所にしようと思っています。

ねねの日記・35 ・・・ おもちとおぞうに  

2019-01-08 16:15:48 | E市での記憶
お正月が来る前に
おもちがうちに来る。

まるくて白いおもちと
ペターっと大きい長四角のと
黒いお豆さんのはいったのと。

みーんなお盆みたいなのに
白い粉まみれで並んでる。

アタシはお豆さんのはいったのも好き。


白くてまんまるいのは
粉をはらってお雑煮に入れる。

お味噌汁におもちが
はいってるみたい。

アタシは食べるのが遅いから
おもちがだんだんとけてきて
おしまいには、なにがなんだか
わかんなくなる。

でもおいしい。


長四角のおっきいのは
かたくなってから
おばあちゃんが包丁で切る。

かたくなり過ぎると
おばあちゃんは大変そう。

焼いておしょうゆつけたり
引っ張ってのばして黒砂糖包んだり。

アタシは黒砂糖だけのほうが
ほんとはいいんだけど。


おもちはすぐにオナカがすくって
みんな言うけど、ほんとかなあ。

あたしはいつも
もっと食べたいのに
すぐにオナカいっぱいになって
食べられなくなっちゃう。

なんかソンしてる気がする。


おとうちゃんは、おぞうに食べるとき
子どもの頃食べたおぞうにの話する。

「いろんなモン入ってるんやぞォ。
だいこん、にんじん、さといも、しいたけ
鮭にイクラに・・・あとなんやったっけ」

おとうちゃんはおにいさんが二人いて
「そんながを競争して何杯も食べた」んだって。

そこまで来ると、アタシとおねえちゃんの方見て
「オンナノコはほんとに食べないなあ」って言うの。

いつもなんだよ。

でも目が笑ってるから
叱られてるんじゃないってわかる。

おとうちゃんは、ちょっとだけ
遠くを見てるみたいな感じ。



それでね、「カガミモチ」にヒビが入って
カチンカチンになっちゃう頃に
また学校が始まるんだ。







コメント
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