もうひとつの部屋

昔の記憶に、もう一度会える場所にしようと思っています。

ねねの日記・26 しらたま 

2017-07-16 17:25:23 | E市での記憶
アタシは「よく寝込む子」って言われる。

おねえちゃんや近所の友だちが
外で遊んでるのに
庭の方から声が聞こえてくるのに
アタシは「外に出たらイケマセン!」って。

熱もないのに外で遊べないと
なんだかすごく悲しくなる。

こーゆーのをサビシイって
言うのかなあ。


このあいだの日曜は、朝早くから
おねえちゃんもおとうちゃんも
カンゴフさんたちも、み~んな
「レクレーション」に行っちゃった。

アタシはまだ寝てなくちゃいけなくて
「電話番」のおかあちゃんもお留守番。


2階で寝てると、天井の板の上を
お日さまの光が踊ってるみたい。

お外はきっと青空なんだろな。


ぼんやりしてたら、おかあちゃんが
階段上がってくる音がした。

「ねねちゃん、オナカすかない?
白玉作ったら少し食べる?」

おなかはすいてなかったけど
いらないって言うの、悪い気がして
「食べる」って言っちゃった。

食べられなかったら
どうしよう・・・


またぼんやりしてるうちに
「出来たよ」

寝てたみたい。
あっという間。


おかあちゃんの「しらたま」は
ガラスのいれものに
ほんのちょっとだけ。

あま~いシロップに沈んで
カンヅメのみかんと桃と
サクランボがひとつ。

結局、半分しか食べられなかったけど
おかあちゃんは「よく食べたね」って。

ほめられて、ちょっと嬉しかった。


おねえちゃんたちは
暗くなるころ帰ってきた。

海に行ってたんだって。
スイカ割りもしたって。

帰りは、ミクニのトージンボーで
サザエのツボ焼き食べたんだって。


いいもん。アタシは
「しらたま」食べたもん。

「しらたま」は白くて小さくて
もにゅもにゅしてて・・・

色もきれいでハイカラな感じ。

アタシはたぶん好きだと思う。





コメント
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