もうひとつの部屋

昔の記憶に、もう一度会える場所にしようと思っています。

ねねの日記・36 ・・・ おとうちゃんの描いた「木」

2019-04-14 16:31:00 | E市での記憶
おとうちゃんは、絵が好きなんだって。

おとうちゃんが、ヒゲモジャで
スケッチブック膝にのせて
何か、一生懸命描いてる写真
前に見たことある。

一緒に山行ったお友だちが
撮ってくれたんだって。

描いてるおとうちゃんの絵
もうひとりのお友だちが
そばからのぞき込んでる。

その人も、絵ェ描くの好きで
おとうちゃんとおかあちゃんが
「けっこん」するとき、お祝いに
ヒマワリの絵くれたんだよ。

真っ青な空に、背高ノッポな
黄色いヒマワリがあっち向いてる絵。

おとうちゃんは大事にしてる。


アタシ1回だけ、おとうちゃんから
「絵」の描き方教わったことある。


学校の写生大会で
描き終わらなかった子は
宿題になっちゃったんだけど・・・

アタシ図工はダメなんだよね。

絵の続きも、もうイヤイヤ
茶の間で描いてたんだけど・・・


日曜日だったのかなあ。

おとうちゃんが通りかかって

「お、ねねコ、絵描いてるんか」

で、じーっとアタシの絵見てる。

(ハズカシイからやめて~)

でも、しばらくしてから
おとうちゃんは手を伸ばして

「ちょっと筆貸してごらん」


さっさっさ~っと縦に3本
薄い絵の具で線引いて・・・

「林だったらこんな感じかな」

縦棒の茶色をもう少し濃くして
ちょっちょっと、薄い緑や黄色で
短い横棒つけてくと・・・

「どんな色つけてもいいんだよ」

あっというまにアタシが描いてた
「松林」になった。


「1本だけ書くんだったら
こういうのもあるよ」

って、もっと大きな「木」も描いた。

そっちは赤も青も黄色も
もちろん緑も茶色も使って・・・

葉っぱばっかりのはずなのに、
なんだか花ざかりな「木」ができた。

もちろんそれも「あっというま」。


アタシはもうもう
ほんと~~にビックリした。

「おとうちゃんは絵がほんとに
上手だったんだァ」


・・・で、おとうちゃんはさっさと
また診察場の方に行っちゃった。


アタシはおとうちゃんの絵
宿題の役に立つかと思ったけど
ぜんぜんダメだって、すぐわかった。

オトナに教えてもらっても
コドモの絵にはダメなんだって。

仕方ないから、やっぱりイヤイヤ
また続き描いたんだけど・・・


オトナになったら、アタシも
あんな風に「木」とか「林」が
描けるようになったらいいな~

図工が大好きになれるのにな~って
あのとき本気で思ったんだけどな・・・




コメント
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