What’s ノーマリゼーション?

福祉について考えるUMEMOTOのブログ

「ありがとう」の先にあるもの

2005-02-17 23:26:30 | 福祉雑記録
私の勤めている特別養護老人ホームでは、面会後の家族に対して「ありがとうございました」と言っている。別にそう決まっているわけではないが、職員のほとんどがそうだ。
私はいつもそれを聞きながら違和感を感じている。なぜ「ありがとう・・・」なのか。

少し乱暴かもしれないが、私は家族が面会に来るのは当たり前だと思っている。顔を見に来るだけではなく、ケアをしていってくれてもいいとさえ思っている。だから、なぜ面会に来た家族に対して「ありがとう・・・」と言うのかがわからないのだ。ホームヘルパーが訪問中に、そのお宅に遊びに来た家族に向かって「ありがとうございました」と言うだろうか。
そこで暮らしている入居者にとっては、施設であっても“住まい”である。そして、そこで働くスタッフは何らホームヘルパーと変わりがない。そういう共通理解がない施設は、生活の場にはなり得ない。

私が言いたいのは、介護は家族がやるべきだということではない。高齢者に限らず、障害者、子どもなどのサポートは社会全体で取り組む必要があると思っている。
「家族の介護」と「家族の支え合い」は別問題なのだ。
よく親を老人ホームに預けてしまってから、かかわりを持たなくなってしまう家族がいる。預けてしまえば、後は施設の仕事だからと手を出さない。ケアは身体的なものばかりではない。家族には最期まで精神的なつながりを持っていてほしいと思う。

「ありがとう」の先には何も見えない。そこでぷつりと終わってしまうような気がする。もっと家族に対して求めてもいいのではないか。求めるということは、私たちもそれだけのことはしなくてはならない。それが対等な関係であり、相互作用の中からよりよい関係が生まれるのではないだろうか。