むじな@金沢よろず批評ブログ

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立て続けに出る中国のドゥンガン語研究書、中央アジアへの覇権の表れか?

2010-03-08 02:14:57 | 世界の民族・言語問題
先週久しぶりに萬巻楼をのぞいたら、

中亞東干學研究
主編 胡振華
北京, 中央民族大學出版社,2009.10
ISBN978-7-81108-722-2, 90RMB, 553頁
(簡体字を繁体字に変更)
という本が出ていたので四の五のなくゲット!

ドゥンガン語・族に関する集大成という感じで、ドゥンガン語に関する研究文献一覧、文学史概略などのほか、巻末に基礎的語彙の中国語・ドゥンガン語対照表もあって、かなり便利。って、こういうの、ほしかったんだよね。
(中国の本ってどんどん高くなっているな。まだまだ日本よりは安いが、韓国台湾と変わらない価格レベルになっている。そのわりに毒物のにおいが相変わらずだし、これからはどうしても中国のものではないといけない言語専門書以外は買わなくなるだろうな。以前は西洋文学翻訳ものとかもよく買っていたけど、今は皮膚癌になるリスクを考えると日本か台湾のものを買ったほうがいい。)

ドゥンガン語研究書としてはごく最近、

東干語、漢語烏魯木齊放眼體貌助詞研究
王景榮 著
天津, 南開大學出版社, 2008.5
ISBN 978-7-310-02913-6, 13RMB, 189+7頁

というのも出ていて、題名を見るとかなり個別論のようだが、この本も実はいろんな小説や詩から実例を引っ張ってきて、原文とその漢字訳と普通話訳が対照になっていて、声調をつけない完全表音文字表記のため、一種の判じ物みたいになってしまっているドゥンガン語を読むコツがつかめるような構成になっていて、けっこう重宝する文献だ。

しかしこれだけマイナーな言語について毎年立て続けに文献が出ているのは、中国が官話系言語の末裔であるドゥンガン族と中国の紐帯を使って、中央アジアに覇権の手を伸ばそうという魂胆の表れかも知れない。

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